鳩山首相の外交論のネタ元らしき寺島実郎氏の主張の言葉のカラクリについて、私が田久保忠衛氏との共著の『反米論を撃つ』で述べたことをさらに紹介します。
『寺島実郎という反米レトリック』という項の記述の続きです。
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「現実にはアメリカの政策は客観的にみて、それほど簡単には評せません。でも寺島実郎氏はカギ括弧のレトリックで強引にそうするのです。
そのあとはもう議論の余地はありません。この手法ではアメリカの論理を単に「悪い論理」というふうに勝手にカギ括弧で呼んで、だから悪いのだ、という追い討ちをかけるのに等しいからです。
大げさで短絡的な用語操作です。もともとアメリカがそういうことを掲げてはいないのに、括弧を使って、虚像をつくりだし、その虚像のみに基づいて、だからアメリカはだめだ、と結論づける。いわば卑怯な論法です。
実例をあげましょう。寺島実郎氏が書いた文章です。
「『有事法制』も、主体的意志を見失えば、『米国が作り出す有事』を自動的に『有事』として共有せざるをえないところに日本を置きかねない。戦後日本が、国づくりの基軸としてきた『武力を国際紛争解決の手段としない』という理念も、『多国間の協調によって世界秩序を維持する』という国際協調主義も、力によって米国が掲げる価値を実現しようとしているブッシュ政権に歩調を合わせることによって急速に色褪せ始めてている」
この文章のカギ括弧手法のポイントは、「米国が作り出す有事」という表現です。寺島氏は有事法制を認めると、本来は日本にとって有事でも危機でもないのに、アメリカが勝手に作り出す有事を押し付けられる、ということを主張したいのでしょう。
でもそんな主張には根拠はありません。その点の曖昧さをカギ括弧の「米国が作り出す有事」という表現でごまかし、いかにもそういうアメリカの押し付けが存在するような印象を与えようとするのです。
こういう記述は日本とアメリカが安全保障では多数の共通項を有し、共同の防衛努力までを誓っている、つまり日本の有事はアメリカの有事にもなる、という日米協力の基本を無視しています。そういう協力をすることが日本の利益になるという、今の日本の多数派のコンセンサスをも無視しています。結局はアメリカとは協力するな、という趣旨なのです。
だからこそ反米だと言えましょう」
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by 小野まさ
毛沢東統治の恐怖