民主党が対米安保政策として「対等な日米同盟」というスローガンを唱えていることは、すでに周知です。
その民主党が「対等な同盟」とは何かを問われて、答えられないでいることも周知の事実です。
ところが最近、ある民主党議員は同じ質問をされて「ギブ・ミー・チョコレートの時代は終わったということだ」と答えたそうです。
「ギブ・ミー・チョコレート」とはiいわずもがなですが、米軍占領時代のGIたちに日本の子供がチョコレートをくれとねだっていた現象を指します。
この民主党議員は日米同盟の「対等」について、そんな表現を使って答えた、いや、そんな表現でしか応答できなかった、ということです。
これは日米同盟という日本の国家安全保障についての冷静で論理に基づくべき議論で、まったく情緒的な言葉を持ち出してきて、議論を避けてしまう、という逃げとしか思えません。
そんな点をアメリカ側の知日派の筆頭マイケル・グリーン氏が取り上げ、批判しています。氏は産経新聞に論文を寄せてきました。

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日本の国益とは何か CSIS日本部長 マイケル・グリーン
2010年03月05日 産経新聞 東京朝刊 国際面

鳩山由紀夫首相は、60年前に、「従属的独立」を米国と交渉したと
吉田茂を非難し、それに終止符を打とうとした祖父、鳩山一郎の使命に再び着手している。
私のようなワシントンの“安保マフィア”について広められた神話の一つに、われわれが日本の「従属的独立」の永久化を目指してきた、というものがある。
実際には、私と同僚たちは10年前、日米同盟に関する「アーミテージ・ナイ報告」で、
米国は、冷戦期の大半を通じて日本に関する伝統的な考え方を特徴付けた「
ガイアツ」や「ビンのフタ論」への依存を超えて進むべきときだ、と書いている。
日本の経済力が相対的に衰えて中国の力が急速に増大する中で、日本にとっても、国際体制下で自身の力、威信、“重み”を持続させ強化する先手を取ることが緊要だ、とも考えた。
日米同盟は明らかに、国力の「ツール・キット」(道具一式)の中の一つだ。
だが、日本経済の再生、
インドや
オーストラリア、
韓国のような国々との新たな戦略関係の構築、国際社会が直面する主要課題の解決策を形成するためのカネや構想、自衛隊を含むヒトの動員も、ツールとなる。
米世論調査は、米国民が日本にそんな主導的役割を果たしてほしいと思っていることを表している。
日本と米国が基本的な価値観と利益を共有していると考えるからだ。
米国民が明らかに
中国については同じように感じていないことは、世論調査に示されている。
日米関係の今の問題は、単に海兵隊の
普天間飛行場をめぐる意見不一致ではなく、
民主党主導の新政権が日本の根本的戦略に関する国内ないしは日米二国間の議論に関与できていない点にある。
このことは最近、NHKの討論番組に
民主党メンバーたちと出演して合点がいった。
司会者に、「対等な同盟」が何を意味するか具体的説明を求められ、ある政治家は「『ギブ・ミー・チョコレート』の時代が終わった」という意味だと答えた。
これは戦略的概念ではなく、基本的に感情論だ。
問題の一つは、
民主党指導層の頭の中に何はさておいても、今夏の参院選で
自民党打破を狙う国内選挙戦略があることだ。
その結果、
民主党は、
社民党のような小政党の連立相手に、国家戦略を定めるいかなる試みをも妨げることを許してしまっている。
政治主導の政策決定という
民主党の概念も問題だ。
歴史上、最も偉大な大戦略家たちは政治家であって、官僚ではなかった。
民主党はしかし、他のどの議会制民主主義国の例もはるかに超えて、政治主導の意思決定をしようとしている。
英国でも
豪州でも、政治家たちは確かに、大きな決定をし大戦略を定めているが、技術的専門性、国際的ネットワーク、組織としての記憶を有する職業官僚抜きにしては、それはなし得ないことを分かっている。
これらの問題の是正には恐らく、参院選後まで時間を要しよう。
だが、メディア、国会、学者、そして鳩山政権のメンバー自らは今、戦略をめぐる国民的対話を開始できる。
普天間の詳細にかまけ、「対等な同盟」のごとき曖昧な一般論に逃げ込むよりも、こう問う方がましだろう。
日本の国益とは何か? 国益に対する挑戦は何か?
その挑戦への最大限の影響力を日本に行使させてくれるツールには、日米同盟をはじめ何があるか?
政治家が主導しつつも民間の専門家や実業界の指導者を含む二国間の戦略対話の枠組みを日米が作ることは特に有益だろう。
相互の世界観の率直な評価は、普天間問題の解決への背景となり、日米両政府の戦略的信頼を再び醸成する手始めとなり、双方の利益に影響するアジアの急速な変化を形作るのに必要な「ツール・キット」を集める態勢を両国に取らせてくれるだろう。
◇
【プロフィル】マイケル・
グリーン
米ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院(
SAIS)で博士号取得 日本留学中に故・椎名素夫元参院議員の秘書を務めた。
ブッシュ前米政権で
国家安全保障会議(
NSC)アジア上級部長などを歴任。米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長。

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by 小野まさ
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