私の書『アメリカでさえ恐れる中国の脅威!』について中国研究家の石平氏が書評を書いてくれました。
いま発売中の雑誌『正論』4月号に掲載されています。
石氏は中国の民主活動家として活躍し、迫害を受けた人で、最近は日本の国籍を得ています。雑誌や著書での中国評論は広く知られています。
石氏は私の書について、前回、紹介したおちょくりとは対照的に、正面から評価をしてくれました。
その書評を以下に紹介します。
アメリカには「米中経済安保調査委員会」という連邦議会所属の常設政策諮問機関がある。この機関は、民主・共和両党の有力議員から推薦された中国問題専門家12名から構成され、国防総省・財務省・中央情報局(CIA)・国務省などの政府機関から情報の提供を受けながら、中国の政治・経済・軍事問題などにたいする独自の調査を長い時間をかけて行っている。
つまり、情報能力の面において世界最強の国である米国が、その総力を挙げて中国にかんする情報の収集や分析を続けているのはこの「調査委員会」の仕事であるが、その最新の調査結果として公表されたのは当委員会の「2008年度報告書」である。
そして、米中双方の事情にはたいへん詳しいベテランジャーナリストの古森義久氏が、「2008年度報告書」の要点と主な陳述を抜粋・翻訳し、独自の解釈を加えて1冊の本にまとめてくれた。それがすなわち私の手元にある『アメリカでさえ恐れる中国の脅威!』と題する本書である。
本書が紹介している「2008年度報告書」の中身は実に多岐にわたっている。中国はいかにして人民元の対ドル交換レートを不当に操作しているのか、中国は主権国家資産ファンドを使っていかなる政治的利益を追求しているのか、中国は一体どこまで大量破壊兵器の拡散に関与しているのか、中国は一体どのような歪な「主権概念」に基づいて国際ルール無視の主権拡大を図っているのか、中国による宇宙の軍事利用とサイバー攻撃は国際社会にどのような脅威を与えているのか、などなどである。
そもそも、豊富・確実な情報と鋭い分析をもって、経済・軍事・国際政治などの多方面における「中国からの脅威」を鮮明に浮き彫りにしている「2008年度報告書」ではあるが、そこに古森氏による画竜点晴とも言うべき解釈が加えられると、「中国の脅威」にかんする恐ろしい実態と戦慄すべき未来像が、はっきりと見えてくる。共産党独裁政権下の中国という国が、アメリカや東アジア、そして世界全体にどれほどの脅威を与え、このまま放置しておけば、やがては世界は中国に呑み込まれていく可能性が十分にあるということがよく理解できるのである。
その中で、「他国の主権を削り取っても自国の主権を大きくしようとする」という歪んだ主権概念と覇権主義志向の持ち主である中国が、尖閣諸島の領有権と両国間の海洋境界線の確定をめぐって日本と衝突するようなことや、中国が「軍事力の使用による台湾問題の解決」に踏み切る可能性なども課題として詳しく検討されているが、そのいずれも、日本の安全保障にとっての死活問題であることは明らかである。
そういう意味でも、アメリカ人から見た「中国の脅威」が、古森氏という日本人記者の視点から捉え直されて構成された本書は、中国問題及び日本の未来に関心をもつすべての日本人が読んでおくべき貴重な1冊ではないのかと、私は思う次第である。
評論家 石平
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