アメリカと日本の間には、こんな対立もあるのかと痛感しました。
アメリカ議会下院外交委員会の17日の公聴会でのことです。
共和党のクリス・スミス議員が日米間の国際結婚で子供が生まれてから離婚となり、主に日本人の母親がその子供を米側裁判所の裁定を無視して日本に連れ帰ったというケースを「国際的な子供拉致」として非難したのです。
スミス議員は現在、日米間でそうした例が100件以上もあるとしており、日米間の新たな摩擦の原因となる気配も生まれてきました。
スミス議員といえば、中国の人権弾圧やアメリカへのサイバー攻撃を取り上げて非難し、日本に対しては好意的な態度をみせることの多い政治家です。
そのスミス議員が結果として日本を非難するような内容の言明をきわめて険しい口調でしたので、驚きました。
下院外交委員会の小委員会が開催した日米関係についての同公聴会で共和党側の有力メンバーのスミス議員は、以下のような実例をあげました。
①アメリカ人男性のパトリック・ブレイデン氏は日本女性と結婚して娘が生まれた後に離婚し、ロサンゼルス上級裁判所でアメリカに留まる娘に定期的に会えるという裁定を受けたが、2006年に元妻が娘を連れて日本に渡ったきり、会えなくなった
②ポール・トーランド海軍少佐は横浜勤務中に日本女性と結婚して、娘ができたが、別居となり、その後に妻が自殺してしまった。娘は妻の両親に引き取られ、そのままとなった。
スミス議員はいずれのケースも「日本側はアメリカの裁判の決定を無視しているため、子供の誘拐に等しい」として非難したのです。
スミス議員は日本政府に対しこの種のケースの個別の解決とともに、子供拉致に関する国際条約への加盟を訴えました。
拉致とは誘拐といえば、いかにも重大犯罪のようにもひびきますが、その実態は母親が自分の子どもを引き取って育てるという行為です。
しかし父親の側からすれば、元妻への愛情を失っても、子どもへの愛着は変わらず、自分の母国にその子どもをおて、ときどきは会えるという権利を保ちたいということになります。
ましてアメリカの裁判所がその父親の要求を法的に認めれば、もし母親が子どもを勝手に日本へ連れ帰れば、法律違反の行為になるというのです。
日米国際結婚の暗く悲しい裏面ということでしょうか。
しかし事態はすでにアメリカ議会にまで持ち込まれています。へんなふうにこじれて大きな政治問題などにはならないことを願うところです。



by 古森義久
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