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医学者がミステリーを読むと

2010/07/21 01:51

 

 ユニークな本の紹介です。 

 

 著名なベテラン医師がいろいろな小説、とくにミステリーを読み、その内容を要約しながら、敷衍して、視覚障害、認知症、心筋梗塞、臓器移植、食道癌、インフルエンザなど、医学の課題を論じている書です。

 

 ミステリーはもちろん人間活動の最も過激で多様な圧縮ですから、人間の肉体や精神、健康に関する課題が形をいろいろ変えて登場します。つまり医療、医学のテーマです。

 

 この書「もうひとつの謎解き」(へるす出版新書)の著者の小川道雄先生は現在は大阪府貝塚市の市立貝塚病院総長ですが、

ニューヨーク大学医療センター勤務、大阪大学助教授、熊本大学第二外科教授、熊本労災病院院長などを歴任された著名な外科医です。著書も「外科学臨床講義(Ⅰ―Ⅴ)」など多数あります。

 

 

もうひとつの謎解き
―医師の眼で読む、おすすめ小説23


もうひとつの謎解き
 

読めば「必ず読みたくなる!」

毎月数千点出版されるという本の中には、多数のエンターテインメント小説もある。読書好きの著者が、その中からおすすめ作品を選び、それをさらに医師の視点で読み解き、紹介している。
小説を楽しむだけでなく、読みすすむと医学・医療の進歩にも触れることができる、まったく新しい形式の「読書案内」。

 

「必ず読みたくなる!」23冊ラインナップ
青の調査ファイル/予期(アンティシペーション)/いつもそこに あなたがいた/翳(かげ)りゆく夏/片想い/きみに読む物語/ケンタッキー/再起/ジェフェリー 君のためにできること/シューレス・ジョー/スペインの貴婦人/転生/動機/時の渚/七年ののち/深追い/真夜中の調書/道連れ/メッセージ イン ア ボトル/もう一度会いたい/八百万の死にざま/寄生(やどり)木(ぎ)/レインツリーの国/(50音順)

目次<内容(一部)>

著:小川 道雄

 

 

 この書は小川先生から贈呈を受けました。

 

 私が小川先生との知己を得たのは、私が自分の母親が大学病院で納得のいかない経緯で死んだ体験をまとめた本「大学病院で母はなぜ死んだか」(中央公論社刊)を先生がご自分の熊本大学での医学生への講義の教材に使ってくださったことによります。

 

 

 私の書は大学病院での医師との意思疎通の欠落や施設の不備などを詳細に伝えています。もう10数年も前に出た本ですが、その時点で異色だったといえるのは、登場するすべての医師や病院を実名で伝えたことです。この種の書ではA医師とかB病院という記述がいまもって多いですね。しかし私はおたがいの責任を明確にするという意図から、すべて実名という道を選びました。

 

この書を読んでくれた小川道雄先生は基本的に私の提起した疑問や批判に同意してくださったようで、ご自分の講義に使ってくださり、医学生たちに、この書にそっての模擬実習まで課したとのことでした。

 

そんなご縁から以後もときおり、交信が続いてきました。小川先生の革新的な医療方法が全国ネットのテレビ番組で紹介されたこともありました。

 

小川先生の近著の紹介にはそんな背景もある、ということです。

でもこの「もうひとつの謎解き」はミステリー・フアンにとってもきっと楽しめる書です。

 

 

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コメント(9)

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2010/07/21 23:32

Commented by 場口重 さん

古森さま こんにちは。

私はギャンブル依存症に興味を持って、関係する本を20冊くらい読み漁りました。
そのなかで、帚木蓬生氏の「ギャンブル依存とたたかう」という本を読んで大変心が痛みました。

帚木氏は依存症の治療にあたっている現役の医師で、患者の治療にあたり医学雑誌などに論文も寄せる一方で、多くの文学賞を受賞する作家でもあります。
本では典型例としてギャンブルで堕ちていく主婦の物語をプロローグに配し、現状の分析や病的・社会的・法的問題、治療法など論点を網羅しています。

ただ、残念なことに精神医療の現場でもこの病気に対する認識が大変薄いそうで、帚木氏自身も苦労されているそうです。

もし興味があれば、読んでみてください。

 
 

2010/07/22 00:21

Commented by 古森義久 さん

場口重 さん

帚木氏の作品は私もいくつか彼の初期の小説を読みました。
しかしその後、彼が朝鮮半島ものなので、へんに左傾していくという感じを受けたので、読むのをやめました。

でもギャンブル依存症についての小説(?)は知りませんでした。
お知らせ、ありがとうございます。

 
 

2010/07/22 01:04

Commented by dpal451 さん

 古森様 こんばんは。

 最近はあまり小説を読んでいないのですが、それにしてもここに紹介されたものは、全く読んだことのないものばかりです。

 以前法律の知識も得られながらミステリーも楽しめるので、和久峻三氏のものをよく読んだことがありました。こういう専門分野を持った作家の本は面白ければ本当にためになります。

 ご紹介のものは医学的知識も得られながら楽しめるミステリーというので面白そうですね。

 
 

2010/07/22 01:35

Commented by 古森義久 さん

dpal451 さん

私もミステリーは日本、外国を問わず、わりに読むほうなのですが、ここで小川先生が紹介されている作品は一つも読んだことがありませんでした。
聞いたこともないのがほとんど、というのが実情でした。

あなたもそのような反応なので、おもしろいと思いました。

 
 

2010/07/22 01:37

Commented by 場口重 さん

古森さま お返事ありがとうございます。

帚木氏は朝鮮半島を題材に本を書かれているんですね。
恥ずかしながら、コメントを拝見してネットで調べて初めて知りました。
小説に疎く、帚木氏の他の著作を読んだことがなかったもので。

ギャンブル依存とたたかう」についてはプロローグとエピローグに小説を配置して、本編は新書チックというんでしょうか専門書に近いと思います。
ただ小説の部分がとても印象的で、淡白な口調かつ生々しい記述で主婦が家族を巻き込んで不幸になる様が描写されており、難しい内容の本編がすんなり頭に入ります。

帚木氏は韓国北朝鮮寄りの本を書かれていた方なのでしょうか。
私には精神科医で文学者という認識しかなかったもので、ご教示いただければ幸いです。

 
 

2010/07/22 04:27

Commented by 古森義久 さん

場口重 さん

小説の基盤にある政治傾向を定義づけるというのは、難しい作業です。

自分自身のレベルではかなり情緒的な判断ともなりかねません。

しかし帚木氏の基調は日本が朝鮮半島を統治したことは悪いことで、いまの日本国民はまずみな反省し、謝罪せねばならないという感じの怨念ふうの思いがあると、感じさせられました。

あくまでも「感じ」です。

北朝鮮についてはわかりませんが、韓国の人たちに対して、きわめて同情的で、深い共感を表明しているという感じでもありません。もちろんそれは悪いことではないでしょう。

 
 

2010/07/22 20:43

Commented by 場口重 さん

古森さま 丁寧にご説明していただき誠に有難うございます。

国際関係に造詣が深い古森さまの分析、大変参考になります。

日本国内でギャンブル依存症といいますと、施設数や市場規模などからほぼ九割がパチンコ依存となります。
帚木氏の本もここにスポットをあてて患者・医師の側から論じていますが、その内容が先駆的で且つパチンコ業界に非常に厳しいものでした。
例えば国内の患者数についても、当時の業界主要団体による5万人程度との推計に対して帚木氏は200万人と推計し、現在では帚木氏が提示した数字が一般にも用いられるようになりつつあります。

そういった予備知識が邪魔をして、古森さまのコメントが意外に感じられた次第です。
推測するに帚木氏は、韓国寄りの歴史認識の見方と、パチンコ依存症への厳しい見方とが両立する方なのでしょう。

古森さまの見方は私のささやかな研究にも大いに役立ちます。改めてお礼申し上げます。

 
 

2011/08/28 00:42

Commented by syurin さん

古森さん、こんにちは。

文庫版「大学病院で母はなぜ死んだか」読ませていただきました。

日本の医療現場で、多くの患者・家族が経験し感じたり考えたりすることのありのままが、控えめではあるけれど率直に表現されていると感じました。納得のいかないかたちでお母様を亡くされたのは本当に心残りのことでしたでしょう。

患者・家族の言うに言われぬ体験や、関連する医療の問題点を、控えめなかたちで世に問われたのは、ジャーナリストの見識だと思いました。

勝手な感想文で失礼致します。

 
 

2011/08/28 02:53

Commented by 古森義久 さん

syurin さん

私の著書「大学病院で母はなぜ死んだか」を読まれての感想を知らせてくださり、ありがとうございました。

文庫本もだいぶ前に出た本ですが、日本の医療の基本がその後、変わったという形跡もありません。

 
 
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