アメリカ下院外交委員会が6月26日に可決した慰安婦問題での日本糾弾決議案はなぜこの時期に審議され、採択されたのか。まだ本会議での取り扱いが残っているとはいえ、この時点で全体の構図の再確認をしておくことが必要でしょう。
「この時期の採択は日本側有志が6月14日のワシントン・ポストに意見広告を載せたからだ」などという根拠のない憶測が朝日新聞などに堂々と書かれています。英語でいえば、wishful
決議案がこの時期に表決に付されたのは、もちろん複合の要因がありますが、最大の力は在米中国系反日団体による激しいロビー工作です。そのことを証する報道を私は産経新聞で紹介しました。例の「世界抗日戦争史実維護連合会」という組織がトム・ラントス外交委員長、ナンシー・ペロシ下院議長らカリフォルニア選出の民主党下院議員に「アジア系有権者の票と資金」を武器として、「脅し」ともいえる圧力をコンスタントにかけ続けてきたことの成果が今回の表決だといえます。
これら中国系団体は日本が戦争の歴史について、なにか新たな言動をとったから非難をぶつけてくるというのではありません。常にこの種の問題で日本を叩いていること自体が目的なのです。マイク・ホンダ議員はそのための「手段」なのです。
朝日新聞も共同通信もNHKも、この中国系団体の役割にはまったく触れることがありません。「抗日連合会」がニューヨーク・タイムズへの意見広告などで、堂々とその名前を表面に出しても、「中国系」については一切、無視です。それを認めると、自分たちがこれまで提示してきた慰安婦問題に関する「構図」の虚構性が証されてしまうから、なのでしょうか。少なくとも中国系団体がからんでいることを報じるのが客観報道の基礎だと思うのですが。
以下はラントス議員が「抗日連合会」から脅されていた事実の経緯を報じた記事です。6月28日の産経新聞に掲載されました。
なおそのあとに、私が引用し、紹介した英文記事の原文を載せました。
産経新聞6月28日付
「慰安婦決議案 米下院委が可決 中国系反日団体が圧力」
【ワシントン=古森義久】米下院外交委員会(トム・ラントス委員長)が26日、慰安婦問題に関する対日非難決議案を可決したが、この動きの背後では中国系反日団体がラントス委員長に激しい圧力をかけ、敏速に採決の動きをとらなければ次回の選挙で別の候補を支援するという政治的脅しがあったことが報じられている。
この情報はカリフォルニア州中部のニュースを報じる地方通信社「ベイ・シティ・ニューズ」(本社・サンフランシスコ)の6月14日発報道として流され、地元の新聞数紙に掲載された。
委員長に「対抗馬」示唆
同報道によると、歴史問題で日本を一貫して非難している在米中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の幹部たちは、他の在米中国系組織幹部とともに同州クパナティノの中国料理店で集会を開き、マイク・ホンダ議員らが下院に提出した慰安婦決議案の可決促進を協議した。抗日連合会のイグナシアス・ディン副会長(中国系米人)が語ったところでは、同幹部連は下院のナンシー・ペロシ議長とラントス委員長が(慰安婦決議案の採決推進に関して)言い逃げをしているとの見解を明示した。とくにラントス委員長は人権擁護派の評判にもかかわらず「同決議案支持へのわれわれの訴えに応じず、有権者とアジア系米人社会への軽侮を示している」と主張したという。
このディン氏の発言はちょうどラントス委員長らが日系長老のダニエル・イノウエ上院議員から同決議案を審議しないよう要請され、さらに訪米した安倍晋三首相と会談して、同首相から慰安婦問題について「申し訳ない」という言明を得て、同決議案への取り組みをソフトにしたようにみえた時期と一致する。
しかし「ベイ・シティ・ニューズ」の報道によると、抗日連合会の幹部らは民主、共和両党議員への政治献金者であり、このままではラントス委員長らに献金目的にのみ利用され、実際の行動では放置されるという懸念を表明した。そしてディン氏らは「選挙区の33%がアジア系住民であるラントス委員長が同氏らと意思疎通できないならば、もう新しい議員の選出の時期となるだろう」と告げた。ディン氏らはこの「脅し」をラントス委員長のカリフォルニア第12区の人口動態の数字と過去の投票結果で裏づけ、2008年の下院選挙では自分たち自身の候補をラントス委員長への対抗馬として立てることを示唆した。
ディン氏は「ラントス事務所の私たちに対する最近の扱いにはまったく当惑している。すでに対抗候補として十分に資格のあるアジア系米人女性を含む数人を考慮している」と語ったという。
在外中国系住民により1994年に設立された抗日連合会はホンダ議員の選挙区に本部をおき、中国政府とも密接なきずなを持ち、戦争や歴史に関して日本を一貫して非難してきたほか、2005年には日本の国連安保理常任理事国入りへの反対署名を4200万人分集めたと発表している。ディン氏ら幹部は1990年代からホンダ氏と連携して日本非難の決議案の作成や提出にかかわり、政治資金も集中的に提供してきた。
ラントス委員長の事務所ではこのディン氏らの動きについての報道に対し26日、「もう実際の事態展開で事情は変わった」と述べた。
以下は上記の記事の素材となったアメリカ側通信社報道の英語の原文です。
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