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米軍イラク撤退が中東を不安定に

2011/12/20 15:30

 

オバマ大統領は予定をさらに早めて、イラク駐留の米軍を全面撤退させました。さてこの措置の功罪はなんなのか。

 

そもそもアメリカのイラク軍事介入はどんな功罪をもたらしたのか。

とくに日本では「罪」ばかりが拡大されがちですが、「功」もあったことを強調したいと思います。

 

【朝刊 国際】


イラク戦争終結、変わる中東の「地政図」 米軍全面撤退 情勢不安定化、懸念も

 

18日、イラク駐留米軍の最後の部隊が国境を越えて隣国クウェートに入り、クウェート軍兵士らとともに国境の門を閉める米兵ら(ロイター

 

 【ワシントン=古森義久】米国の8年余のイラクへの軍事介入は、中東の要衝に米欧寄りの民主主義政権を樹立し、国際テロ勢力に決定的な打撃を与えた点で 多大の犠牲を払いながらも、中東情勢全体を安定方向へと動かしたといえる。だが今回の米軍全面撤退がその構図に再び動揺の兆しを生むことは否めない。

                   ◇

 2003年に始まった軍事介入は、フセイン政権を敵とする厳密な意味での戦争には数週間で決着をつけた。以後は国内の民族衝突や国際テロ組織アルカーイダを主対象とする平定作戦から民主主義政権の基盤づくりへと焦点が移った。

 

 米軍は最大17万の兵力を投入したが、平定には苦労を重ねた。だが07年にブッシュ大統領(当時)が2万人の増派に踏み切り、戦局は好転した。特に国外 から侵入してきたアルカーイダ武装勢力は、米軍とともにイラク側各派からも反撃され、深刻な被害を受けて、武力活動を低下させた。

 

 介入の目的や成果は、イラク大量破壊兵器備蓄というブッシュ政権の当初の主張が誤りだったことだけが拡大されて全体像をぼかす形となった。しかし、大 量破壊兵器を実際に使い、国際テロ組織を許容した反米欧の独裁政権が除かれたことによる中東全体への安定効果は大きかった。

 

 ◆民主化の成果を立証

 中東の要衝に位置するイラク米国イスラエルに武力でも対抗する独裁政権に統治されるか、国際協調の民主主義政権に代表されるか-の相違は巨大だとい える。この点、「アラブの春」と呼ばれた、中東諸国の非民主的政権への国民の反発が政治情勢の不安定を招いたとき、イラクだけは国内の安定を保ち、民主化 の成果を少なくとも当面、立証することとなった。

 

 オバマ大統領も米軍の増派による目的達成を認め、戦争終結を宣言したときにはイラクの現政権の自治能力や発展能力、そして民主主義の実現を強調した。軍 事介入を一貫して支持した共和党側は「イラク戦争オバマ大統領の就任時にすでに、米国の同盟相手となる民主主義政権の樹立により勝利が確定していた」 (ダンカン・ハンター下院元軍事委員長)という前向きな評価で一致していた。

 

 しかしこの時期の米軍全撤退はイラク情勢の悪化の危険をも当然、懸念させる。介入に当初から反対した民主党リベラル派は「米国の将兵や財政の犠牲の停止」や「米国の帝国主義的野心のなさの証明」という主張を掲げて歓迎した。

 

 ◆イラン伸長に警戒感

 だが、オバマ政権がイラク側から駐留米兵への刑事免責の付与を拒まれ、全面撤退をやや唐突に実行した経緯は、イラク情勢悪化への懸念の声を単に共和党側だけにとどめない結果ともなった。

 

 オバマ政権下の国防総省では今後数年、米軍2万人程度をイラクに残す意向だったとされる。だがそれが一気にゼロの水準に落ちるという急変は当然、イラク 政権にとって国内の治安だけでなく対外的な安全保障の基盤の弱化をも招くこととなる。この点、イラクの宿敵のイランがその影響力をまた増大してくる見通し は否定できない。

                                                 ==========

 

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コメント(9)

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2011/12/20 16:21

Commented by koku さん

古森さま

>一気にゼロの水準に落ちるという急変は当然、イラク 政権にとって国内の治安だけでなく対外的な安全保障の基盤の弱化をも招くこととなる。この点、イラクの宿敵のイランがその影響力をまた増大してくる見通し は否定できない。

おっしゃる通りだと思います。そもそも民主的だからといって西欧諸国が好むような政権ができるという保証もありません。もうしばらく米軍のイラク駐留が続いたほうがよかったと思います。

特に、アメリカイランから石油を買うなと言ってますが、だったらそれに代わるイラクからの石油購入と安全を保証するべきだと思います。

 
 

2011/12/20 16:34

Commented by 古森義久 さん

koku さん

イラクとすれば、アメリカから頼りにするよう、さんざん、影響を受けたのに、こんどは唐突の全面撤退と、翻弄される観ですね。

しかしアメリカはこれでイラク介入の動機が「石油」でも「領土」でもなかったことを奇妙な形で証明したともいえます。

 
 

2011/12/20 18:22

Commented by mundolatina さん

ブッシュが言ってた
中東を民主化するという誇大な思想は左翼的な革命思想ですよね。

 
 

2011/12/20 18:48

Commented by koku さん

古森さま

>しかしアメリカはこれでイラク介入の動機が「石油」でも「領土」でもなかったことを奇妙な形で証明したともいえます

私はアメリカが武力をもって世界制覇するというなら、べつにかまいません。とりあえず、中国北朝鮮にお行儀というものを教えていただきたい。

 
 

2011/12/20 22:25

Commented by 古森義久 さん

mundolatina さん

左翼は左へ行けば行くほど、社会主義、共産主義となり、個人の自由を認める民主主義からは遠くなるので、民主化が左傾向というのは、一般の政治区分とは異なりますね。

 
 

2011/12/20 22:26

Commented by 古森義久 さん

koku さん

なるほど、そういう考え方もありますね。

 
 

2011/12/20 22:49

Commented by dpal451 さん

 古森様 こんばんは。

>「アラブの春」と呼ばれた、中東諸国の非民主的政権への国民の反発が政治情勢の不安定を招いたとき、イラクだけは国内の安定を保ち、民主化 の成果を少なくとも当面、立証することとなった。

 確かにイラクにだけは、民主化運動のデモは起こらなかったことは民主化への道を進んでいることの証なのでしょう。さらに言えば、イラクの民主化を近隣アラブ国が見て「アラブの春」の嵐が起こったのではないでしょうか。

 また、シリアの民主化運動が強硬な政府弾圧を受けていることは、シリア独裁政権がイラクの民主化に敵対しアルカーダを支援してきたことさえ思わせますね。

 イラクから米軍撤収して本当にやっていけるかどうか、まだ周辺国にはシリア、サウジ、イランなどイラクの成功を阻止したい勢力が多いですから。

 それに民主化しても、中途半端な官僚機構、法制度、警察、軍の下で、スンニ派シーア派対立、クルド人などの民族問題を抱えうまくやっていけ保証はありませんね。イラク憲法がどうなっているのか存じませんが、宗教、民族色を排除した世俗国家になれるかどうかがやはり試金石でしょうね。

 民主的な統治機構が機能しなくなった時、アメリカはどうするのでしょうか。外から見る限りは完全撤収は時期尚早な気がするのですが。

 
 

2011/12/23 06:15

Commented by 王マイゴッド さん

古森様、おはようございます。

>介入の目的や成果は、イラク大量破壊兵器備蓄というブッシュ政権の当初の主張が誤りだったことだけが拡大されて全体像をぼかす形となった。しかし、大 量破壊兵器を実際に使い、国際テロ組織を許容した反米欧の独裁政権が除かれたことによる中東全体への安定効果は大きかった

大量破壊兵器がなかったことをもって、
イラク戦争が誤りだった、ブッシュ戦争犯罪人だ、
という外野席からのヤジのような言質がなされていましたね。

例えば、拉致被害者奪還のために北に軍事行動をとって、
キムをアナグラから引っ張り出して裁判にかけようとすることは、
こんなことはあたりまえで疑いようのない当然の正義だと私は思いますが、
その時もし、全土を探し回ってもみつからず、
あるいは被害者がキムの言う通り死んでいたら、
あるいは日本が認定していた被害者の多くが実はいなかったら、
それみたことかブッシュは戦争犯罪者だ、というような人は、
同様に、それみたことかお前ら戦争犯罪者だ、と非難するのでしょうね。

つまり私に言わせればこんな類の批判は、当事者能力を欠く、
外野席の酔っぱらいのヤジの類だ、ということの証明でしかありません。

 
 

2011/12/23 06:15

Commented by 王マイゴッド さん


今年はアラブの春などと話題となるほどに、
中東の独裁者は民衆のパワーに倒されましたが、
戦争を避けた東アジアではこの期に及んで共産主義国が隆盛を極め、
大量破壊兵器と大量餓死独裁のカルト独裁者は、
栄養とりすぎの病気で自然死。

平和憲法がいかに人を殺し、平和を破壊しているか、
専制と隷従、圧迫と偏狭を育て、恐怖と欠乏をもたらし、
平和のうちに生存する権利を破壊しているかがよくわかります。

 
 
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