オバマ大統領は予定をさらに早めて、イラク駐留の米軍を全面撤退させました。さてこの措置の功罪はなんなのか。
そもそもアメリカのイラク軍事介入はどんな功罪をもたらしたのか。
とくに日本では「罪」ばかりが拡大されがちですが、「功」もあったことを強調したいと思います。
【朝刊 国際】
■イラク戦争終結、変わる中東の「地政図」 米軍全面撤退 情勢不安定化、懸念も
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| 18日、イラク駐留米軍の最後の部隊が国境を越えて隣国クウェートに入り、クウェート軍兵士らとともに国境の門を閉める米兵ら(ロイター) |
【ワシントン=古森義久】米国の8年余のイラクへの軍事介入は、中東の要衝に米欧寄りの民主主義政権を樹立し、国際テロ勢力に決定的な打撃を与えた点で 多大の犠牲を払いながらも、中東情勢全体を安定方向へと動かしたといえる。だが今回の米軍全面撤退がその構図に再び動揺の兆しを生むことは否めない。
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2003年に始まった軍事介入は、フセイン政権を敵とする厳密な意味での戦争には数週間で決着をつけた。以後は国内の民族衝突や国際テロ組織アルカーイダを主対象とする平定作戦から民主主義政権の基盤づくりへと焦点が移った。
介入の目的や成果は、イラクの大量破壊兵器備蓄というブッシュ政権の当初の主張が誤りだったことだけが拡大されて全体像をぼかす形となった。しかし、大 量破壊兵器を実際に使い、国際テロ組織を許容した反米欧の独裁政権が除かれたことによる中東全体への安定効果は大きかった。
◆民主化の成果を立証
中東の要衝に位置するイラクが米国やイスラエルに武力でも対抗する独裁政権に統治されるか、国際協調の民主主義政権に代表されるか-の相違は巨大だとい える。この点、「アラブの春」と呼ばれた、中東諸国の非民主的政権への国民の反発が政治情勢の不安定を招いたとき、イラクだけは国内の安定を保ち、民主化 の成果を少なくとも当面、立証することとなった。
オバマ大統領も米軍の増派による目的達成を認め、戦争終結を宣言したときにはイラクの現政権の自治能力や発展能力、そして民主主義の実現を強調した。軍 事介入を一貫して支持した共和党側は「イラク戦争はオバマ大統領の就任時にすでに、米国の同盟相手となる民主主義政権の樹立により勝利が確定していた」 (ダンカン・ハンター下院元軍事委員長)という前向きな評価で一致していた。
しかしこの時期の米軍全撤退はイラク情勢の悪化の危険をも当然、懸念させる。介入に当初から反対した民主党リベラル派は「米国の将兵や財政の犠牲の停止」や「米国の帝国主義的野心のなさの証明」という主張を掲げて歓迎した。
◆イラン伸長に警戒感
だが、オバマ政権がイラク側から駐留米兵への刑事免責の付与を拒まれ、全面撤退をやや唐突に実行した経緯は、イラク情勢悪化への懸念の声を単に共和党側だけにとどめない結果ともなった。
オバマ政権下の国防総省では今後数年、米軍2万人程度をイラクに残す意向だったとされる。だがそれが一気にゼロの水準に落ちるという急変は当然、イラク 政権にとって国内の治安だけでなく対外的な安全保障の基盤の弱化をも招くこととなる。この点、イラクの宿敵のイランがその影響力をまた増大してくる見通し は否定できない。



by yvb89326
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