本日の産経新聞の社説がその意義を改めて強調しています。
=======
■【主張】TPPと成長 震災復興の起爆剤とせよ したたかな交渉力こそ磨け
大震災の痛手から一刻も早く立ち直り、この国の経済を成長軌道へと戻す。これこそが今、日本が官民を挙げて取り組むべき最大のテーマである。
そのためにも、債務危機に揺れる欧米を尻目に成長を続けるアジア太平洋地域のパワーの取り込みは、死活的に重要な意味を持つ。昨年11月、野田佳彦首相が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加を正式に表明したのは当然の決断だった。
◆構造改革進める好機に
だが、問題は、交渉で何を獲得目標とし、それを国益にどうつなげるのか、その具体論や明確な方向性が、野田首相から、いまだに示されていないことである。
資源に乏しい日本が、貿易立国として世界の競争市場で生き残っていく上で、アジア太平洋地域の核を成す貿易共同体の構築に背を向ける選択自体、あり得ない。
TPP交渉は今月中にも、米国や豪州など先行参加9カ国と日本の間で、参加承認を得るための個別事前協議が始まる。
国益が懸かる交渉には、なによりも国民の広範な支持取り付けが欠かせない。首相はTPP参加の具体的な意義について、分かりやすく繰り返して国民に語り、理解と協力を得る必要があろう。
20年来のデフレと低成長が続く中で、欧州債務危機をきっかけにした超円高が製造業の海外移転を加速し、産業の空洞化は深刻化している。TPPへの参加は、関税撤廃など交易条件の改善をもたらす。中長期的には、こうした空洞化の回避にもつながるはずだ。
内閣府の試算では、関税撤廃だけで実質国内総生産(GDP)を最大で3・2兆円、0・65%押し上げる効果がある。流通や通信などサービス分野のルールが共通化され、ヒト、モノ、カネの国境を越えた動きが活発になれば、さらなる相乗効果が期待できる。
念頭に置くべきは、TPP参加は震災からの復興も加速するという視点である。
岩手、宮城、福島の被災地には精密機械部品製造など世界市場で通用する高い技術力を持つ中小企業が少なくない。TPPは、そうした潜在的世界企業が海外に進出しやすい環境をもたらす。
TPP参加で、被災地の漁業や農業は深刻な打撃を受けるとする見方もあるが、逆だ。むしろ、日本の1次産業再生に向けた構造改革を進める好機にすべきだ。
生産規模が小さい農家が多く、高齢化と担い手不足が続く日本農業は、農政の無策もあって衰退の一途だ。このままでは、TPP以前の問題として早晩、存亡 の危機に立たされかねない。交渉参加を機に農地の集約化で生産性を高め、国際競争力をつけることが急がれる。それこそが、将来世代につなぐ震災対策にもな る。
宮城県は復興特区の指定による規制緩和で、企業にも漁業権の取得を認める構想を描く。海水に浸った農地の塩分を抜き、耕作地として再生させるにも企業農業の出番が求められている。
◆中国取り込む役割担え
TPP慎重論には、米国主導で進む経済圏構想を警戒する中国への配慮もうかがえる。まずは、中国が積極的な東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓を加えた経済連携協定(EPA)を優先すべしという考え方である。
だが、日本の成長には、どちらも必要な枠組みだ。双方をバランスよく組み合わせ、最終的に、より広域な経済取り決め構想であるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)へと進める。それこそが日本が担うべき役割だろう。
事実、日本がTPP交渉への参加を表明したことで、メキシコやカナダが参加意欲を表明した。中国も、日本との個別EPA締結に前向きな姿勢を示し始めて いる。独善的な行動が目立つ中国を国際的な貿易ルールに組み込むためにも、TPPを推進する意味は大きい。実質的な日米同盟の強化にもつながる。
1980年代から90年代に激しかった貿易摩擦を背景にした日米構造協議などを例に「日本はまた米国の要求を押しつけられる」とする懸念も聞かれるが、そもそも交渉とは、自国の利益を実現するために行うものだ。
野田首相はTPP参加にあたり「勝ち取るべきものは勝ち取る」という決意を披瀝(ひれき)した。その言葉通り、したたかな外交交渉力こそが政府には求められている。


by yvb89326
北朝鮮が核武装に成功する理由