日本はアジアでは孤立などしておらず、安倍政権の登場はむしろ歓迎されていることを証する動きがありました。いずれも日本の大部分のマスコミは取り上げていない動きです。「日本はアジアで孤立している」と大上段からの虚報を伝えてきた新聞などは恥ずかしくて報じられない動きなのかもしれません。
第一はベトナムが日本との新たな「戦略的パートナー」となったことです。
ベトナムのグエン・タン・ズン首相が10月18日から22日まで日本を公式訪問しました。ズン首相は日本の国会で演説までしています。
ズン首相の訪日ではベトナムの世界貿易機関(WTO)加盟に日本が賛成することや、日本の対ベトナムの投資や貿易を拡大すること、さらには日本のベトナムへのODA(政府開発援助)を増額すること、などが合意されました。しかしそれよりも注目されたのは日本とベトナムが「戦略パートナー」となり、安全保障面でも新たな協力を始めることを合意した点です。
日本とベトナムは「アジアで平和と繁栄を築くための戦略的パートナーになることに合意した」というのです。この両国の結びつきは明らかに中国の軍拡を念頭に入れているといえるでしょう。アメリカのブッシュ政権も実はこの日本・ベトナムの安保面での急接近に注視しています。
しかし肝心の日本ではこのベトナム首相の訪日の動きはほとんど報道されませんでした。
第二はインドネシアの安倍政権の安保政策への歓迎表明です。
具体的にはインドネシアのユウオノ・スダルソノ国防相が10月上旬、ロイター通信のインタビューに答えて、安倍政権の登場に対して次のように語ったのです。
「東アジア安全保障での日本の力強く、果敢な役割を歓迎する。そうした日本の動きは中国などとの新たな、好ましい均衡を生み出すだろう」
「(安倍政権が憲法を改正し、従来の消極平和主義を捨てることについて)日本が『普通の国』になる希望の一環として
まず従来の防衛庁を止めて、防衛省を設置することを望む。日本が防衛面でアメリカとなおきずなを保ちながらも、アメリカの庇護を受けることは大幅に減らすことを期待する」
「いまわれわれがみているのは、中国、日本、インドなどが台頭することで出現してきた新しい東アジアの力の均衡だろう。アメリカの役割もなお最重要な存在として歓迎されている」
ベトナムもインドネシアも、安倍政権が自国と緊密な関係を結ぶことを強く求めているといえます。
ちなみにベトナムもインドネシアも、日本の首相の靖国参拝に対して公式の場でなにか述べたことはまったくありません。
アジアで日本は孤立していないのです。
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/trackback/65655
2006/10/30 16:52
古森様、お邪魔します。
インドネシアの言う「地域列強」(良いのかなこんな表現)の中にAustraliaが含まれていないのは意味深ですね。
まあ、IndonesiaとAustraliaの仲立ちができれば、日本にとって「より好ましい環境」がAsia=Oceaniaにできるのですけどね。
日本の外交課題としてはそこいら辺と、Indonesia・Thailand・Vietnamの「鳥インフルエンザ対策」も上位に置いても良いのかと思いますが。
鳥インフルエンザ関連でもう一つ、台湾のWHO加盟。何とか出来ないモノですかねぇ。
2006/10/30 18:18
古森様
今日のコラムに対しては、「ベトナムの首相やインドネシアの国防相が何を言ったか、どのように報道するか決定するのは編集の自由の一環だ」と言った反論の声が一部メディアあたりからは聞こえてきそうです。しかし、どのニュースを掲載するのかを決定する編集の自由は報道の自由の重要な構成部分として保障されるのは当然ですが、本来報道すべき事実を無視ないし矮小化するのは、権利の行使ではなく濫用です。
このコラムで指摘された事実を無視ないし矮小化したメディアは、安倍首相の中韓訪問まで「アジア外交の破綻」「アジアでの日本の孤立」というフレーズを呪文のように繰り返し、アジア外交を国民的関心事にすることに成功しました。こうした状況で、「日本は孤立していないんだ」というアジアからの孤立におびえる国民が最も知りたがっているニュースを報道しないのだから、一体何を考えているのかという気がします。こんなことは思いたくないですが、仮に彼らが読者を精神的に不安にさせることで自分達の主義主張への支持を取り付けようとしているのであれば、彼らの行為は権利の濫用に他ならず、それこそたちの悪い新興宗教の勧誘と同じレベルまで堕ちたと言えるのではないでしょうか。
かつて東欧の人達は、さまざまな方法を用いて自分達の目にするメディア以外、つまり西側の情報を入手しました。なぜなら、彼らは自国のメディアが嘘と欺瞞に満ちた存在であることを知っていたからです。一方、報道の自由が法的に保障されたわが国では、多くの人々はメディア、特に新聞に対して編集の自由という名の情報操作がなされている可能性を疑うことはあまりありません。
古森様、今まで新聞を含めたメディアが他のメディアの記事その他を直接批判するということは滅多にありませんでした。これは、他社の報道の自由への尊重からなされていたことと理解します。しかし、今回の事例のように権利の濫用としか思えないケースについて、メディアによる別のメディアへの直接的な批判がもっとあってもいいのではないでしょうか。古森様、そして産経新聞にはこのような方法による問題提起に、より力を入れてくださることこれからも期待します。
2006/10/30 20:31
マスコミは放映しないことに何も感じないんですかね??
まあ、それはさておきアジア外交の目玉は日印軍事同盟!か?(^o^) 限定的に対中共軍事同盟でも可(^o^)
日本は三日で核武装出来る。でもやらない。その代り米国の核の傘も日本にかかってるし、さらにインドの核の傘も日本にかかってるよ~~~ん、となると中共も東アジアで覇権を好き勝手に称えることは出来なくなるんじゃないでしょうか。
それと国内では集団的自衛権の解釈変更と制服組がしっかり意見を言える防衛省。
装備は兎に角10艇以上の原潜購入。通常弾頭で良いのでSLBM搭載。
これくらいは一気呵成に出来るのでは?
安倍政権の攻めの外交は大変素晴らしい成果を上げつつあると思います。
中川(大吟醸)政調会長の米国における核論議発言も今までの日本外交では考えられませんでしたね。
中川兄さんは今のところ攻め役でしょうか?日教組に対する発言と言い、GJの連続ですね。
産経新聞には安倍政権の一ヶ月とかの特集で安倍外交の成果を取り上げて欲しいですm(_ _)m
2006/10/30 22:14
古森様
時代の変革を促すものの一つに「技術」があると思います。ヨーロッパの宗教改革もグーテンベルグの活版印刷があればこそだと思います。
その意味でも、日本の先端技術をはじめ「日本なし」は考えられない状況にアジアはあると言って過言では無いと思います。
朝日的「日本孤立論」は、自分の思い込みが強すぎる論議の様に見えてなりません。
2006/10/31 00:05
アジア通貨危機以後、日本はASEANに対しては、インドネシアやカンボジア以外、一歩距離を置いた外交を行うようになったと思いますね。あのときASEAN諸国が通貨危機に対する日本の努力を評価せず、中国に擦り寄ったことで、日本側のASEANを見る目も冷ややかになりました。
中国やマレーシアやタイが東アジア共同体はASEAN+3でなければならないと主張しているのに対し、日本は東アジア共同体には豪州やNZ、インドも加えようとしています。一般世論も“東アジア共同体構想”には懐疑的ですし。
欧米のメディアは、“アジア諸国が日本に対して抱く不信”
については熱心に報道しても、“日本がアジア諸国に対して抱く不信”についてはなぜか報道しないのが常です。
2006/10/31 01:18
民草あおい 様
横レス失礼いたします。
産経新聞では10月26日~28日の紙面で「安倍内閣1カ月」(上・中・下)という特集が掲載されていました。
古森 様
はじめまして。いつも産経新聞の記事を興味深く拝見しておりましたが、最近このブログの事を知り、新聞よりも詳しくて新しい情報を知る事ができるので、更新を楽しみにしています。
「日本はアジアで孤立している」と報道されていたのに、読売新聞社が行った「アジア7か国世論調査」では、ほとんどの人が「日本との関係が良い」「日本を信頼できる」と答えた事を知り、安心したことがあります。日本政府は無理に中国や韓国に擦り寄らなくても、親日国との関係を強化すれば良いと思います。
話は変わりますが、もうすくアメリカでは中間選挙がありますね。もし共和党が敗れたら、日本との関係はどうなるのでしょう?心配です。
2006/10/31 01:36
staebeast様
インドネシアとオーストラリアの微妙な関係、日本がその仲介を、というのは、私もきわめて適切な指摘だと思います。
台湾をWTOに、というのも、日本外交がそれほど抵抗なくできる新努力だと思います。その成否は別にしても。
2006/10/31 01:42
sierramaestra様
日本においてマスコミが他のマスコミを批判する、あるいはとくに新聞が他の新聞を批判する、というのは、いまではかなり一般的な慣行になってきたと思います。
少なくとも私は毎日新聞記者時代から他の新聞の論調や報道を批判してきました。少しやりすぎて、トラブルを起こしたことも何度もあります。
でもマスコミの公的部分の相互批判は健全な現象だと、いまにいたるまで信じています。
産経新聞も定期的に他の各紙の社説を紹介し、比較し、批判までしています。こんどぜひごらんになってください。
2006/10/31 01:55
rowan様
ようこそ、です。
ここでは新聞紙面よりも、ちょっと先鋭、トゲ入りの記述が出てくると思いますが、文字どおり本音です。
目的はひとえに、よりよき日本、よりよき国際報道、世界認識、という大義のつもりです。
「よりよき」というのはもちろん、主観的要因が入ってきますが、国際報道に関しては、重要な事実の無視とか削除などはわりに客観的に裏付けられる気がします。
アジアでは日本と良好な関係を保っている国、良好な関係を発展させたいと思っている国は多数あります。
アメリカの中間選挙は与党が後退するのが伝統です。
共和党がたとえ下院の多数を失っても、ブッシュ政権の運営に重大支障をきたすということはありません。そもそも共和党は10年ほど前までは議会の上下両院とも多数を民主党にずっととられたまま、ホワイトハウス(大統領ポスト)は獲得し、政権を運営するという状態を長年、続けてきました。
民主党びいきのアメリカの大手マスコミとそれに乗る日本の反ブッシュの一部の大手マスコミは、民主党が下院をとれば、これでブッシュ政権が終わりであるかのような虚像を描くことでしょう。実態は違いますので、ご安心を。
2006/10/31 03:09
kikuti-zinn様
経済だけで考えても日本とベトナムなど東南アジアとの関係は大事だと思うのですが。
ちなみに日本とベトナムとの「戦略的パートナー」については日本の大手新聞は産経新聞も含めて、どこも報じなかった可能性が高くなりました。
2006/10/31 21:29
面白い記事があったので紹介を。
ttp://www.asahi.com/column/wakamiya/TKY200610300159.html
核兵器 「帝国以後」のエマニュエル・トッド氏と対談
2006年10月30日
今月はパリで行った対談を「風考計」の特別編でご紹介したい。相手は独特の視点で世界を読み解き、著書「帝国以後」などで広く知られるエマニュエル・トッド氏。鋭く米国や中国を批判する彼は、何と日本に「核武装」を勧めるのだった。刺激的な議論になったが、頭の体操だと思ってお読みいただきたい。
※朝日新聞の「風考計」というコラムで、フランスの知識人
エマニュエル・トッド氏が日本に核武装を勧めています。
朝日がどういうつもりでこの対談を掲載したのか、ちょっと
はかりかねるところがあります。
2006/10/31 22:21
buryar9551様
いつも貴重な情報をありがとうございます。
実はトッド・若宮対談については私も読んだとたんに、感じたことがあり、それを次の新規メッセージに書くつもりだったのです。buryar様に先を越された感じですが、これから書く予定です。
2006/10/31 23:32
buryar9551様
御紹介くださってありがとうございます。確かに非常におもしろい記事でした。
古森さんが、この記事に関してどんな事をお書きになるのか大変興味深いです。
2006/11/01 00:12
若宮・トッド対談
http://www.asahi.com/column/wakamiya/TKY200610300159.html
> 日本がイラク戦争を支持したとき、「もっと毅然(きぜん)としたら」と政府の幹部にただしたら、「フランスみたいに核を持ってないからねえ」と答えたのを思い出す。
結局はここに行き着くじゃないかな?
本当のこと言うと、NPTは、戦後の米ソ冷戦時代にだけどうにか通用する不平等条約で、しかも、大国であるドイツや日本が持っていないのだから不磨の大典のように後生大事にするようなものじゃないよ。
2006/11/01 00:33
古森様
お返事ありがとうございます。
それにご丁寧な説明をして下さって、よくわかりました。
>アメリカの中間選挙は与党が後退するのが伝統です。
そういう伝統があったのですが。イラク戦争のことでブッシュ政権が批判されて、民主党が有利になっているのかと思っていました。
それに産経新聞で報道されていましたが、共和党候補が「移民が投票するのは犯罪であり、投獄もあり得る」という手紙を郵送したり、別の候補がヒラリーさんの容姿を批判したりして、そんな事をしたら余計心象を悪くするのにと思ってしまいました。
マイケル・J・フォックスさんがテレビCMで民主党候補を応援しているという事も、民主党有利に働くのではと思いました。
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