雑誌『諸君!』10月号の論文の続きを紹介します。
さて北京市街に入ってまず目につくのはピカピカの高層ビル群だった。
古ぼけたみすぼらしいビルは減り、ガラス張りの瀟洒な外観のビルが林立している。
とくに北京一のビジネス街であるCBD(中央商務区)には、CCTV(中国国営放送)本社をはじめ、奇想天外なデザインの近未来型ビルが立ち並んでいた。
七年前からの大きな「変化」のひとつである。
来年にはアジアで最も高いビルになるという国貿第三期ビル(約三百三十メートル)がもう骨組みを完成させていた。
道路の整備も著しい。
都心から郊外にかけて同心円状に五本の環状高速道が完成し、非常に便利になった。
一般道の舗装も改善され、凹凸で頭を車の天井にぶつけたりすることはまずなくなったようだ。
地下鉄も、私の赴任中は二路線しかなかったのが七路線に増え、来年にはさらに二路線があらたに開通するという。
全体的な印象として、北京の街並みは清潔感を増した。
ただしこうした市街の構造やインフラの変化が大都市としての自然な発展なのか、北京五輪のための急速で過激な政治的意図からの「変化」なのか。
識別は容易ではないだろうが、おそらく後者の要因がずっと大きいのだろう。
ところが今回、女性の身だしなみが格段に向上していたのには目をみはるしかなかった。
「女性のおしゃれは経済の指標」という説をどこかで耳にしたことがあるが、まさに言いえて妙だと思った。
ところが今回、まず最初に同僚たちに案内された日本料理店は中国人の家族や若者同士の客でいっぱいなのにびっくりした。
近年、若者を中心に日本食ブームが広がり、繁華街には日本料理レストランが凄まじい勢いで増えているのだという。
「日本食=健康的」とのイメージが拡大したせいもあるだろうが、中国人の若者が好んで刺身や日本風のラーメンを食べる光景は七年前の北京の思い出からは信じられなかった。
かつてアメリカ人がおそるおそるスシをつまみ、その美味さに目覚めはじめた頃の様子と重なる状況だと感じた。
世界的な日本食ブームがとうとう中国まで席巻したことに、あらためて日本食の素晴らしさを実感した。
(つづく)
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中国雲南省でも暗躍していた北…