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アメリカの保守主義はどうなるか――リベラル派オバマ氏の当選で

2008/11/08 05:40

 

オバマ氏の大統領当選でアメリカの保守主義が否定された、というような解釈もあるようです。

 

でも本当にそうなのか。

 

アメリカの保守陣営や保守主義の現状、展望について書きました。

 

【緯度経度】ワシントン・古森義久 「拒否」されてない保守


 

 保守主義の冬の時代の始まりなのだろうか。

 

 米国の大統領選挙でリベラル志向の民主党バラク・オバマ候補が、保守派に支持された共和党ジョン・マケイン候補に圧勝し、保守陣営では保守主義や共和党の将来を占う議論が盛んになってきた。

 

 「いまや保守主義者たちは一時亡命をしたうえで反撃をはからねばならない」

 

 「保守派はいまレーガン主義の出発点に戻り、テントを広げて再編を目指すべきだ」

 

 全米で毎週、数千万単位の聴取者を持つラジオのトーク番組の保守派人気ホスト、ラッシュ・リムボウ氏やショーン・ハナディ氏は声をからして、保守陣営の再強化と再団結を訴える。

 

 いまや保守系の政治番組にも、リベラル派の連邦議員から通信法の「公正ドクトリン」という規定をたてに圧力がかかりそうなのだ。

 

 保守主義とは政府の民間への介入を最小限に抑える「小さな政府」を推し、減税とともに自由競争や自助努力を重視する。

 

 対外的には軍事力による抑止や自由民主主義に基づく外交を重んじる。

 

 社会的には個人の自由、伝統的な価値観の保持を唱える。

 

 実際の政治の場では共和党の政策や思想とほぼ合致する。

 

 しかし米国の社会思潮でも国政の舞台でも、戦前から戦後の長い期間、「大きな政府」のリベラリズムが主流だった。

 

 連邦議会の上下両院で一貫して民主党が圧倒的多数を占めていたこともその結果だった。

 

 だが1980年のロナルド・レーガン氏の大統領当選でその構図は劇的に逆転した。

 

 92年に民主党ビル・クリントン氏が大統領に当選したが、その政策はリベラリズムをぐっと薄めていた。

 

 しかも94年の中間選挙では上下両院で共和党保守派が議席を大幅に増やして新たな「保守革命」を宣言した。

 

 その保守の基調が80年以来、初めて大きくほころびたのが2006年の中間選挙だった。

 

 そして今回の大統領選挙はさらに保守主義と共和党の後退を印象づけたのだった。

 

 その結果、選挙の直後から保守の魂の模索が始まったのである。

 

 「いまの保守主義の後退はブッシュ政権が政府の民間への介入や支出を拡大して『大きな政府』を実行し、保守の原則から逸脱したことにも大きな原因があるため、保守全体としてはブッシュ政権の退陣後にはまた息を吹き返せる」

 

 草の根保守運動のゴッドファーザーと呼ばれる長老活動家のリチャード・ビグリー氏が米紙に語っていた。

 

 同氏は保守派が疎外され、孤立していた1960年代半ばから草の根保守運動の組織づくりに努めた伝説的な人物である。

 

 世論調査を専門とする共和党活動家のウィット・アイヤーズ氏は「保守派には新しいリーダーたちが必要だ」と述べ、今後の希望の星として真っ先にあげたのが副大統領候補のサラ・ペイリン・アラスカ州知事だった。

 

 民主党や主要メディアには袋だたきにあったとはいえ、ペイリン氏への保守派の支持と信頼は絶大なのだという。

 

 アイヤーズ氏やビグリー氏が保守派の指導者として他に推奨したのは、37歳のインド系米国人のボビー・ジンダル・ルイジアナ州知事、47歳のティム・ポーレンティ・ミネソタ州知事、52歳のチャーリー・クリスト・フロリダ州知事などだった。

 

 アイヤーズ氏らが保守派、共和党の明るい展望を強調するのは、大統領選挙で全体票の46%強の5680万票がマケイン候補に投じられたことや、投票時の全米出口調査では自分を保守主義者とみなすと答えた人が全体の34%と、リベラル派だと答えた22%を大きく上回ったことも理由のようだった。

 

 だから保守の思想や政策自体が米国民多数派から完全に拒否されたわけではない、というのである。

 

 だが、その行方は野党に回る共和党側がオバマ政権にどこまで効果的に挑めるのかに一重にかかっている。

 

 

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コメント(14)

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2008/11/08 07:10

Commented by siegfried さん

 アメリカのポリティカル・ダイナミズムは一見大きなうねりのように見えますが、民主、共和共に日本の民主党のような荒唐無稽な恥知らずの政策を唱えるわけではないと思います。政権交代をしても実際に外交政策の基盤が大きく変わるわけではない。ただ、国単位では政権によって温度差があることは事実でしょう。歴史的に見れば共和党は親日的で、民主党政権の時には、日本はたびたび煮え湯を飲まされています。とはいえ共和党政権のニクソンは頭越し外交で中国を承認したこともありましたから、自国の検疫のためには、友好関係など紙屑のように捨て去る冷徹な国家であることは今も昔も同じだと思います。いずれにせよ米国依存度の高い日本としては、アメリカとの友好関係は避けて通れません。モンデールのような男がバラク・オバマの対日顧問になっていることを考えるとマイク・ホンダのようなお調子者もいますし、先は厳しいといえると思います。オバマの顔を日本に向けさせるために知日派民主党議員ジョン・ロックフェラーあたりの力を借りてロビー活動を活発化させる必要があると思います。

 
 

2008/11/08 07:11

Commented by siegfried さん

ごめんなさい。
自国の検疫 ではなく 自国の権益 です。お詫びして訂正足します。

 
 

2008/11/08 07:54

Commented by 古森義久 さん

siegfried さん

思慮深いコメントだと思いました。

ただしロックフェラー議員ご本人はもうちょっと、という感じですが、20年前の彼のような政治家に対日関係の重要性を認識してもらい、その認識と政策として唱えてもらうようなことが望まれるわけですね。

 
 

2008/11/08 10:21

Commented by 故郷求めて さん

朝刊で拝読しました。米国民もオバマの正体を知らずに投票したのではないかという疑義がわきますね。昨年の日本の参議院選挙でも自民党は惨敗したものの、保守層が与野党ともに伸びているという分析が確か月刊正論でなされていました。保守の意味合いにもよりますが、「伝統を守る」「秩序を重んじる」「穏やかな気風」というところを前面に出せば、日教組的革新派の出る幕は無くなるのではないかと思います。

 
 

2008/11/08 10:46

Commented by legolas1453 さん

私は国内政策は保守寄りながら、2004年以来オバマ支持をやってまいりました。

ですが、やはり民主党政権は過去の例からすれば日本軽視の姿勢があることは否定しきれません。

さらにはオバマの対北朝鮮外交で六カ国協議から二国間協議にシフトしてしまうと日本は蚊帳の外に置かれてしまいます。これは由々しき事です。

その他、イスラエルにあまり受けの良くないオバマのパレスチナ問題の展望や、コーンの産地イリノイ・アイオワ両州に基盤を置くオバマがバイオ燃料増産に走ると世界的な穀物価格高騰になるなどの懸念があります。

駐日大使の候補にはパウエル人脈のアーミテージ氏も有力候補に挙がっているとか、これは朗報でしょう。

これは私見ですが、今回のオバマ勝利によって、巻き返しを図る共和党が宗教色を薄めて穏健派が主流になる可能性あるのではないかと考えています。
近年の共和党は、宗教右派への依存度を高めていたので、無党派層の取り込みに遅れを取ったように思えます。
右傾化が過ぎるとぶり返しも大きいのでリスクが大きいのではないかと・・・。左にも同じことが言えますが・・・。

siegfriedさんのコメントは実に正鵠を射ていると思います。

上院は民主は60議席には到達できなかったようですね。
今回オバマ人事で上院議員から選ばれれば補欠選挙があるのでも、後日到達する可能性は大きいですね。独立系のリーバーマン上院議員はどうするつもりなのでしょうかww

 
 

2008/11/08 13:18

Commented by 古森義久 さん

故郷求めて さん

米国民がオバマ氏の真の姿を知らないというよりも、彼自身が大統領選挙での自分のプレゼンテーションを以前とは変えたほうが大きいといえます。

たとえば上院議員時代にはアメリカ沿岸での石油試掘に反対していたのに、選挙キャンペーンでは賛成のように語る、というぐあいです。

 
 

2008/11/08 13:20

Commented by 古森義久 さん

legolas1453 さん

上院の議席60を民主党が取れなかったことは、もし取れた場合を想定すると、非常に大きな違いです。

リーバーマン上院議員はさっそく民主党院内総務のリード議員に呼び出され、責められて、上院での委員長ポストを剥奪されそうになっています。

 
 

2008/11/08 15:31

Commented by 東北の魚屋 さん

古森様
こんにちは。
一寸質問させて戴きます。
リベラル オバマ次期大統領は、大きな政府作りすると言ってます。
大型減税をし公共事業を増やし、国民皆保健制度、金融機関へ資金注入、
自動車産業救済等々。
それに、利益配分? 社会主義では?
素人なんで、わかりませんがアメリカ国民は信じているのでしょうか?
まぁ、ドルを刷りまくればいいはなしですが・・・

 
 

2008/11/08 18:30

Commented by sierramaestra さん

古森さん

リベラルを自任する人と保守を自任する人の比率は、わたしがアメリカにいた10年以上前とあまり変わっていません。ですから、わたしは保守主義がアメリカで拒絶されたとは全く思っていません。古森さんがブログの中で定義された保守の定義に、保守派の政治家が忠実に行動していれば、このような保守の凋落はあり得なかったと思います。

しかし、現実の政治の世界ではそうではありませんでした。「経済活動の自由」の名の下、強欲なウォール街を野放しにする一方、中間層の地盤沈下に何の手も打たず、貧困層に対しても、保守本来のもつ互助の精神が発揮されることはありませんでした。また、「伝統的(キリスト教的)な価値観を重視」するあまり、妊娠中絶のように、個人の自由に属する問題と大多数が考える問題に対して、非常に硬直した態度で接した結果、大多数の国民に、保守主義は独善的で不寛容だとの印象を与えてしまったことも否めません。

わたしはアメリカにいた当時、保守主義には全体として共鳴はしましたが、保守派コメンテーター(リンボー氏など)が口汚く政治的ライバルをののしるラジオ番組や、一部共和党政治家の、独善的ともとれる態度が大嫌いでした(だから、マケイン氏には強く共鳴できたのですが)。今回の大敗北が、本来のより草の根的で素朴な保守主義の回帰に結びついてほしいと、心底思っています。

 
 

2008/11/08 23:44

Commented by heiwa さん

米大統領選の終盤の流れは昨年参院選(マスメディア合体となった狂騒時→自民党大敗→安倍本格保守政権退陣)の流れがを嫌でも過りますが
しかし選挙後月刊誌、桜CH等で遠藤氏が「保守票は伸びている]Etcと「保守崩壊」論に異論を述べてたと記憶します。

今回のマケイン共和党との総得票数差が6%であることは逆にあの物量、最後電波ジャックまでさせてオバマ陣営広告に狂奔したマスメディアのあり方に否定的な人達が一定数いたんだということに救いがありはしませんか?

サブプライム発の「金融危機」を「年金問題」に置き換えると、その源凶を糾すことなく 反日と謂わず主に読売マスコミTVメディアの狂騒があり彼等の歓迎する屈中福田政権誕生となったわけです。日本は幸いなことに一年後の今、モアベターな麻生政権になっている。こんな時は議員内閣制で良かったと思います。 

オバマ民主党が「大きな政府」どころか全体主義的「共産党」に様変わりしないよう監視しつつ、共和党は取り合えず猛省と戦略を練り直し、先ずは2年後の中間選挙に勝つ事でしょう。権力の座は敵に渡ったのですから!

 
 

2008/11/09 01:15

Commented by 古森義久 さん

北の魚屋さん さん

マケイン候補に投票した側ではまさに「所得の再配分は社会主義だ」という批判が噴出していました。共和党の意識の高い層からはその点でのオバマ批判が最も強かったともいえます。

オバマ候補に投票した側は社会主義的でもよいという人が多数派というよりは、オバマ候補はなんとなくこれまでの共和党政権よりはうまく統治をしてくれるだろうと期待、という印象です。

そもそも大型減税をしながら、政府支出を膨大に増やすというのはマジックですよね。

 
 

2008/11/09 01:22

Commented by 古森義久 さん

sierramaestra さん

とても参考になる俯瞰図的なコメントだと思いました。

ただしいまのブッシュ政権に対しては保守本流からは十分に保守ではないという批判もあります。

また貧富の差がブッシュ政権の任期中に果たして従来より拡大したのか。
クリントン政権の8年間の方がその拡大は大きかったという一部の統計もありました。

国民の多数派が保守的な思考や志向を拒んでしまったというわけではなく
アメリカというのは依然、保守・中道の国家(あるいは社会)ということのようです。

 
 

2008/11/09 01:24

Commented by 古森義久 さん

heiwa さん

なるほど、なるほど、という感じの日米政治の類似論、比較論だと思いました。

 
 

2008/11/10 09:27

Commented by ksuki さん

アメリカでは共和党が民主党より日本への理解者的であるため、日本人が共和党を応援したくなる気持ちは理解できます。 その意味からは、日本人が共和党を応援することも正しいでしょう。

しかしアメリカ人が大統領や政権を選択する上で、その選択の判断が正しいか否かは、日本への理解者であるかどうかとは無関係です。
アメリカだけが良くなり、地球全体が悪くなる方向の選択は誤りですが、そうでなければアメリカ人にとってはアメリカが良くなる方向の選択が正しいのです。

その場合、日本にとってマイナスの政策・政権のことも有るでしょうが、だからといってアメリカ人の選択がアメリカにとって間違っているとは言えません。

アメリカの庇護に頼るだけでなく、アメリカの方から日本へ擦り寄って来るよう、日本は力を付けなければならないのです。
民主党も決して反日・嫌日の訳ではないのですから。

 
 
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