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次期アメリカ大統領の本来の過激リベラル志向――バラク・フセイン・オバマの光と影(7)

2008/12/20 15:25

 

オバマ次期アメリカ大統領についての雑誌論文の紹介を続けます。

 

なおオバマ政権下での日米関係がどうなるか、レポートを別のサイトに書きました。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/90/

          =====

第三の影はオバマ氏の本来の超リベラル志向である。 

 

歴代大統領のなかでもオバマ氏ほど政治経験の少ない人物は珍しいが、国政レベルではわずか三年余の上院議員歴だけのなかでも「上院議員百人のうちでも最もリベラル」と判定されていた。

 

この場合のリベラルとは、「大きな政府」策に基づき、民間への政府の介入や規制を増すことを主唱し、経済面での自由競争や福祉面での自助努力を抑えようという思考だといえる。

 

対外面では軍事を軽視し、対話や協議を優先させ、同盟関係よりも多国間関係を重視する。

 

上院議員としてのオバマ氏イラク介入に激しく反対し、イラクからの米軍の早期撤退や戦費の大幅削減を唱えていた。

 

労働組合に支援されているから「アメリカ労働者の雇用」を極端に重視し、一連の自由貿易協定に難色を示した。

 

北米自由貿易協定NAFTA)に反対を表明しながら、カナダの政府には「本音ではないから心配するな」とひそかに告げていた事実が一部メディアにもれて、あわてて否定するという一幕もあった。

 

他方、オバマ氏は外国に生産施設を移すために対外投資を増やすアメリカ企業には特別の課税をするという上院法案にも共同提案者となっていた。

 

要するにオバマ上院議員は保護貿易主義へ明白に傾斜し、労働組合への配慮から外国投資まで抑制するという過激リベラル志向をいやというほど、みせてきたのだ。

 

健康保険に関してもオバマ上院議員アメリカ国民の多数派がなお「社会主義的」だとして否定的な政府による国民皆保険への賛同を唱えてきた。

 

その一方、大企業への批判的な傾向からキャピタル・ゲイン税や法人税の引き上げを奨励してきた。

 

「富や所得の再配分」というのもオバマ議員の好みのスローガンだった。

 

税制では高所得層への税金の率を思い切って高くして、多額の課税をし、政府としてはその分の税収入増を低所得層に減税や福祉という形で「再配分」するという仕組みだった。

 

本番の選挙戦でもオバマ候補は「年収二十五万ドル以上の高所得者を除いては国民全員のうちの九五%に対し減税を実施する」と言明した。

 

高所得層は所得が多いというだけで悪者扱いをして、その富を収奪し、貧困層へ再配分するという発想である。

 

共和党側からはこれに対して「社会主義的税制」という非難がすぐに飛び出した。

 

さらにはアメリカ国民の四〇%近くが最低課税対象額の所得を得ておらず、その結果として所得税を納めていない事実が判明し、共和党側からはこのオバマ大減税案への不信がぶつけられた。

 

オバマ氏はこの減税については選挙キャンペーン中に減税対象から外す高所得者層の所得水準として当初の年収二十五万ドルから二十万ドル、十五万ドルと、どんどん引き下げる言明を重ねて、真意がどこにあるか、国民の多くを戸惑わせた。

 

(つづく)

 

          ======

 

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コメント(11)

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2008/12/20 17:15

Commented by yuuitirou さん

要するに、日本国社民党党首のような大統領ということですか?

 
 

2008/12/20 21:32

Commented by siegfried さん

 モンロー主義に戻ろうとするのでしょうか。モンローは今の民主、共和の時代ではありませんが、どちらかというと民主党ですよね。なんだか調子が良すぎて、逆に危うい感じがします。世界をリードする国の元首がこんなに軽そうな人間で大丈夫なのでしょうか。

 
 

2008/12/21 08:39

Commented by 古森義久 さん

yuuitirou さん

社民党の党首との類似では、オバマ氏がかわいそうかも知れませんね。

 
 

2008/12/21 08:44

Commented by 古森義久 さん

siegfried さん

モンロー主義とオバマ新政権ですか。
ユニークな発想ですね。

「なんだか調子が良すぎて」というのは多数の人が同意する本能的、生理的な反応かも知れません。

 
 

2008/12/21 19:14

Commented by gabacho さん

親中派で日本嫌いのヒラリー・クリントンの国務長官の方が、オバマ大統領より恐ろしいかもしれませんね?

 
 

2008/12/22 07:19

Commented by 古森義久 さん

gabacho さん

ヒラリーといえば、大統領選挙の予備選段階で逃亡中の犯罪者である中国系米人ビジネスマンを通じて合計86万㌦ほどの不正な献金を得ていたことが判明し、あわてて、その分を返済した経緯など、大いに気になりますね。

 
 

2008/12/22 07:41

Commented by 花うさぎ さん

古森さん

おはようございます。

>労働組合に支援されているから「アメリカ労働者の雇用」を極端に重視し、一連の自由貿易協定に難色を示した。

そうすると、ビックスリーの救済には労組の給与水準の低下などの条件を付けない可能性もありますね。

構造的問題にメスを入れなければならないのに?。

 
 

2008/12/22 08:48

Commented by 古森義久 さん

花うさぎ さん

おはようございます。

オバマ氏が労組にどう対応するか、新政権のあり方を占ううえで、重要なポイントですね。

自動車労組の組合員の給与水準の高さは一貫して問題となっています。
なにしろ時給60ドル(5千円以上)というのですから。
70ドルという数字もよく語られます。

 
 

2008/12/22 16:47

Commented by 花うさぎ さん

To 古森義久さん

>なにしろ時給60ドル(5千円以上)というのですから。
>70ドルという数字もよく語られます。

はあ~、それでは共和党支持者が怒るわけだ。

確かに一端法的整理して労使関係をスッキリさせないと、本格的な再建は難しそうですね。

 
 

2008/12/22 20:01

Commented by leny さん

こんばんはです。
民主党内の大統領候補争いでは、労組は既存労組がヒラリー支持、非正規就労者の労組がオバマ支持だったと記憶しています。
この辺り本来ならオバマは自動車労組にきつく当たっても(給与の引き下げ等)良いようにも思うのですが、結局民主党の全体に引きずられる訳ですねw

 
 

2008/12/23 14:50

Commented by 古森義久 さん

leny さん

確かにここまでくると、民主党組織の内部で、あの勢力はヒラリーを支持したから、そのことへの仕返しをする、という言動はもうないし、とれないふうになっているといえます。

 
 
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