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オバマとクリントンと、外交政策は一致するのか

2009/01/29 13:24

 

オバマ大統領とヒラリー・クリントン上院議員とは周知のように大統領選挙の予備選で激しく争いました。しかしオバマ氏クリントン女史を国務長官に任命しました。外交政策でもいろいろ衝突することが多かった二人が果たして、これから完全なコンビとして歩調を合わせていけるのか。

 

雑誌SAPIO2009年1月28日号に書いた古森レポートを紹介します。

 

                =====

 アメリカのオバマ次期政権では外交面で複雑な錯綜が起きそうである。

 

 オバマ大統領民主党内のライバルとして激しく衝突してきたヒラリー・クリントン上院議員を外交の責任者の国務長官に任命したからだ。

 

大統領選挙の予備選ではオバマ、クリントン両候補がまさに外交政策をめぐって険悪で熾烈な戦いを繰り広げた。

 

クリントン候補がした「ホワイトハウスの電話が午前三時に鳴ったら」という選挙コマーシャルが話題を呼んだが、その趣旨は外交上の危機には未経験のオバマ氏ではとても対応できないという批判だった。

 

そしてオバマ氏の「大統領に就任すれば、すぐにイラン北朝鮮などの最高指導者と前提条件なしに個別会談をして、問題の解決にあたる」という言明を「あまりに無知な外交姿勢だ」とも酷評した。

   

その一方、オバマ氏も「クリントン氏は大統領夫人として各国を回っただけで、実際には外交の経験はほとんどない」と反撃し、ブッシュ大統領のイラクのフセイン大統領打倒の攻撃に彼女が上院議員として賛成票を投じたことを非難し続けた。

そんな二人がこんどは一転、チームを組んで新政権の外交を推進するというのだから、離合集散は政治の常とはいえ、二人の言葉をまともに受け取っていた側は当惑させられる。

 

オバマ氏がそれでもなお最強のライバルをあえて国務長官に登用したのは、民主党内の団結強化の狙いや、クリントン氏の次回の大統領選での敵対封じの試みなど、したたかな計算あってのことだろう。

外交の姿勢や認識に関してはオバマ氏クリントン氏の間にはこのように相違や対立が多かった。

 

だから実際のオバマ新政権の外交が整合性や一貫性でどうなるのか。懸念を禁じえない面もある。  

 

しかしその一方、両者の少なくとも公式の言明のなかには、歩調が合う領域も存在する。

その第一は多国間アプローチである。

 

選挙戦中はオバマ、クリントン両氏ともブッシュ政権の対外姿勢を「一国主義」と非難して、差し迫る国際的難題への対応はアメリカ一国、アメリカの国益やイデオロギーだけでなく、他の諸国をも巻き込んで、と主張した。

 

だから当然、国連への依存の拡大を説くことになる。

オバマ氏は外交政策論文では「アジアでの従来の二国間協定やサミット会談、北朝鮮に関する六カ国協議、あるいはその他の随時のアレンジメントを超える効率的な枠組みの形成に努める」と書いていた。

 

この「従来の二国間協定を超える効率的な枠組み」とは明らかに多国間の枠組みだった。

 

一方、クリントン氏も同様の外交政策論文で六カ国協議について「この枠組みを北東アジア安全保障の組織体の確立へと構築していくべきだ」と説いていた。

 

これまた明白な多国間アプローチの奨めだった。

 

多国主義というのはどうしても自国の独自の思想や哲学、さらには利害関係までの対外的な追求が希薄になる要素がある。

 

アメリカでは民主党リベラル派の伝統ともいえる志向の系譜だといえる。

 

多国間の関係を優先し、重視するとなると、どうしても伝統的な二国間の同盟関係への比重も相対的に減ることになりかねない。(つづく)

               =====

 

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コメント(23)

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2009/01/29 15:17

Commented by siegfried さん

 下院では民主主導でバイ・アメリカン条項が可決したようですが、バラク・フセインは拒否権を発動するでしょうか。外交問題最初の踏み絵になるような気がします。1年以上のヒラリーとの確執がそう簡単に消え去るのかも確かに見物ですね。今後保護貿易化が進めば民主政権のいつかきた道になりそうです。

 
 

2009/01/29 18:00

Commented by leny さん

国際的なイニシアティブを維持したいのなら、二国間交渉(連衡)で行くべきであり、多国間交渉(合従)で多数派工作に巻き込まれる愚を犯すべきではないのですけどね(これは日本の外交政策にも言えます。拒否したければ他国を巻き込み、押し通したければ二国間交渉に落としこむべき)。

だれか中国のことわざを教えて上げては如何ですかねw

 
 

2009/01/29 20:15

Commented by 古森義久 さん

siegfried さん
 
この民主主導のバイ・アメリカン条項はオバマ氏も賛成だと思いますよ。
上院議員時代にはそういう趣旨の保護貿易主義的な法案を自分で出しています。

 
 

2009/01/29 20:18

Commented by 古森義久 さん

leny さん

なるほど、合従連衡ですか。

おもしろいたとえですね。

 
 

2009/01/29 22:28

Commented by dpal451 さん

 古森様 こんばんは。

 分かっていることは、オバマ大統領クリントン国務長官ともに外交ではほとんど素人ということですね。指名選挙での非難暴露合戦は外国外交部に格好の研究材料を与えていますね。

 しかし、二人だけで外交する訳ではありませんから、素人であればあるだけ実務部隊にどんな人物を起用しているか、誰をブレーンと考えているかで方向は決まってくると思われます。

 聡明の聡は耳偏です。多くの識者の意見を聞きつつ、信頼度の高い外交の展開を祈らざるを得ませんね。

 その際、特に東アジアに疎いという評判ですから、古森さんのような日本の識者の意見も参考にしてほしいですね。日本大使館は絶好の機会と思い走り回ってほしいものです。

 
 

2009/01/30 02:08

Commented by koku さん

>六カ国協議について「この枠組みを北東アジア安全保障の組織体の確立へと構築していくべきだ」

尖閣列島は我国の領土である。竹島は我国の領土である。北方領土は我国のものだ。謝罪と賠償を要求する、さもないと核ミサイルが飛んでいくぞ。

こういう連中と安全保障の話し合いができるとは思いません。ヒラリー・オバマの無知も極まった感があります。こういう連中が外交を推し進めるわけですかww。日本に限らず、世界中でどれだけトンチンカンなことをしでかすのかと思うとぞっとします。

 
 

2009/01/30 04:34

Commented by legolas1453 さん

今、このご時世に保護主義がどれほど危険かわからないオバマではないと考えています。今のオバマにとって保護主義的な古い民主党は迷惑なだけだと思いますよ。

しかも、今は表面上だけでも共和党と蜜月がつづいているわけですし、重要法案が目白押しの現在、共和党との超党派での協力は必須ですから・・・。

こんな時期に保護主義を唱える民主党は調子に乗ってるとしか思えません。


日本の頭越しに、米朝二国間協議なんかされたらたまったもんではありません。

ケリーも2004年のブッシュとの直接討論で米朝二国間協議を主張していましたから、むしろブッシュ政権の方が6カ国協議には熱心でした。

少なくとも東アジアの外交に関しては民主党は無知だったと言わざる負えないと思います。

現在はクリントンもオバマも6カ国協議継続を表明しているのでこれは日本にとってプラスなのではないでしょうか?


こう考えると、少なくとも日米間に限っては親日的なブッシュ政権は有難かったと言うことなのでしょう。ただ、日本はその親日に甘えているように思えなくもなかったですが・・・。

今は奇妙なほど親日・反中(為替操作疑惑)なオバマ政権ですが、これからどうなるかは日本次第ではないでしょうか?少なくとも受け身では駄目だと思います。

 
 

2009/01/30 13:44

Commented by weirdo31 さん

オバマ新大統領のお手並み拝見というところだったんですが、どうやら鳴り物入りの“Yes, we can change!”はブッシュ前大統領時代からはっきりChangeするのは対日政策だけになりそうな予感です。もっともブッシュ時代もチェイニーやラムズフェルド+ウォルフォウィッツ、ライスといった連中は日本の態度にいらいらしてたんでしょうが。

それがオバマになってChangeして、対等の同盟国として尊重されたければ果たすべき責任も果たせとなるでしょう。もっとも世界の常識から言えばこちらが正論ですが。

 
 

2009/01/30 22:12

Commented by 古森義久 さん

dpal451 さん

オバマやクリントンがアジアについては知らないということで、ではアジアの専門家、日本の専門家を起用しましょうと言明して、その結果、出てくるのはいまのところみなビル・クリントン政権時代の「専門家」なのです。
クリントン政権時代に日米関係は戦後最悪となりました。

 
 

2009/01/30 22:15

Commented by 古森義久 さん

koku さん

六カ国協議をアジアの多国間安全保障機関にしよう」という声は日本の中でも必ず出てくるでしょう。もう出ているかもしれません。これは「東アジア共同体」を支持するのと同じ流れの人たちです。
要、注意ですね。

ちなみにアメリカ側ではアーミテージ氏がこの六カ国協議を常設のアジア安保対応機関にすることには反対だと、明確に述べています。

 
 

2009/01/30 22:52

Commented by dpal451 さん

To 古森義久

>日本の専門家を起用しましょうと言明して、その結果、出てくるのはいまのところみなビル・クリントン政権時代の「専門家」なのです。

 結局、民主党の人材も相当払底しているということですか。

>クリントン政権時代に日米関係は戦後最悪となりました。

 当時我が国に対し、アメリカンスタンダードをグローバルスタンダードと強弁し押し付け、構造協議で日本に無茶な要求を突きつけましたね。結局日本は失われた10年という最悪の90年代を過ごしました。

 その頃日本政治も社会党が政権を取り、自民党が左傾化リベラル化して、河野談話村山談話、近隣条項など大きな傷をつけてしまいました。

 一般的なマスコミ識者はオバマ大統領に浮かれていますが、オバマ政権に対しては、よほど褌を締めてかからないと、日本は国益を損なうことになると覚悟しなければなりませんね。



 

 

 
 

2009/01/30 23:08

Commented by legolas1453 さん

確かに日米関係はクリントン時代は最悪でした。

ただ、6カ国協議も「日本無視」を回避して、アメリカに無法な北朝鮮などと直接協議させないと言う意味なら価値はあるのかもと考えています。

なんにせよクリントン時代だけは回避しないといけません。

 
 

2009/01/31 07:01

Commented by parkmount さん

すでにオバマの経済浮揚巨大予算に添付された「バイ・アメリカン」条項がカナダを含む諸外国で保護貿易主義だと、批難する声や対抗策に言及するなど「蜂の巣」を突ついた騒ぎになっていますね。

「一国主義から多国主義へ」とかと、どなたか仰っていませんでしたかね? 
それともあれは「言ってみただけ」でしたか?

 
 

2009/01/31 12:17

Commented by ana5 さん

古森記者さん
お久しぶりです
楽しく読ませていただいています
一極と多極
二国間関係と国際機関利用の政策
ダボスで1つの判断材料が出るかもしれませんね
経済的には、さしよりアメリカ中国、日本はドル防衛
その後の枠組みは?

 
 

2009/01/31 13:51

Commented by LookChina さん

一致しても一致しなくても
異なるボイス(側面)で最大の国益を求めるのはアメリカだと思う

 
 

2009/02/01 03:44

Commented by 古森義久 さん

dpal451さん

オバマ政権への警戒の要、ご指摘のとおりだと思います。

 
 

2009/02/01 03:48

Commented by 古森義久 さん

legolas1453 さん

クリントン政権時代はいまとはアメリカの国内状況も国際情勢も当然、大幅に異なるわけですから、オバマ政権の診断にクリントン時代の状況をあまり大きな指針とすることにも、問題はあるでしょう。

しかしそれでも類似点、共通項には学ぶところあり、そしてなによりも同じ人間たちが活動するのですから、やはり比較はしてしまいますね。

 
 

2009/02/01 03:52

Commented by 古森義久 さん

parkmount さん

オバマ政権主導の景気刺激策に盛り込まれた「バイ・アメリカン条項」は保護主義、一国主義の凝縮ですね。

オバマ政権の一国主義の誇示といえましょう。多国主義に横面を殴るようなものです。

そうです、「オバマは多国主義だ」なんて、日本のメディアでもさんざん「多国主義の美徳」を持ち上げた識者が多いようだけど、さあ、このバイ・アメリカン条項はどう位置づけるのでしょうか。

 
 

2009/02/01 03:54

Commented by 古森義久 さん

ana5 さん

オバマ大統領の就任からまだわずか10日ですが、すでに事前の宣伝とは異なること、続々と出てきていますね。

 
 

2009/02/01 03:56

Commented by 古森義久 さん

しゅん さん

バラク・フセイン・オバマはアメリカの村山富市なのか。
要約すると、こんなところなのでしょうか。

 
 

2009/02/01 03:59

Commented by 古森義久 さん

LookChina さん

>>一致しても一致しなくても
異なるボイス(側面)で最大の国益を求めるのはアメリカだと思う<<

私もそう思いますね。

 
 

2009/02/01 19:24

Commented by parkmount さん

To 古森義久さん
>parkmount さん
>
>オバマ政権主導の景気刺激策に盛り込まれた「バイ・アメリカン条項」は保護主義、一国主義の凝縮ですね。
>
>オバマ政権の一国主義の誇示といえましょう。多国主義に横面を殴るようなものです。
>
>そうです、「オバマは多国主義だ」なんて、日本のメディアでもさんざん「多国主義の美徳」を持ち上げた識者が多いようだけど、さあ、このバイ・アメリカン条項はどう位置づけるのでしょうか。

まもなくオバマ大統領が「寒い国カナダ」へ行くようですから、「バイ・アメリカン」条項で相当、頭に来ているカナダ首相と、どのようなやり取りをするのか面白そうです。  カナダ国会は寒中にもかかわらず、すでに炎上しているようです。

 
 

2009/02/01 20:11

Commented by kashiwa123 さん

ヒラリーは中国寄りだとブツブツ言う人がいますが、そんなことを言うヒマがあれば日本を向いてくれるようにするにはどうしたらいいか考えたらどうでしょう、と言いたくなります。

例えば、ヒラリーには大統領選挙時の借金がまだ6百万ドル残っているとか。
6億円弱ですから、たいした金額じゃない。合法的に、日本の誰かが肩代わりして恩を売る、などどうでしょうか?

 
 
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