SAPIO掲載のレポートの後半部分を紹介します。
なおオバマ政権の対テロ対策への懸念などについて以下のサイトに記事を書きました。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/93/
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オバマ、クリントン両氏の第二の共通項はいわゆるソフト・パワーの重視だろう。
このソフト・パワーというのも定義が難しく、言葉だけが先行して現実が伴わないことの多い標語ではあるが、国家同士の関係では環境保護とか文化とかいう要因を指すのだろう。
女性の人権とかNGO(非政府機関)の役割というようなテーマも入ってくる。
純粋な軍事力とか経済力、政治力とは異なり、人間の皮膚感覚に直接に触れる要素を外交でも重視するという発想だといえる。
たぶんにイメージが重要となるから、外交自体でもとにかく話し合い、協議が優先されることともなる。
民主党としてはこの要因もまた共和党ブッシュ政権へのアンチテーゼとしてとくに強調するようになったといえよう。
さて第三の共通項は中国重視である。
オバマ氏は外交論文で「わたしはまた中国が二十一世紀の共通の課題に対応することに協力し、拡大するパワーとして責任ある役割を演じることを奨励する」と強調していた。
かなりのスペースをさいたアジア政策でも中国重視に終始し、主要同盟国の日本には直接の言及がなかった。
クリントン氏にいたっては「米中関係は今世紀の世界で最も重要な二国間関係である。米中両国が歩調を合わせて達成できることを達成せねばならない」と断言していた。
これまた日本への正面からの言及がないのが特徴だった。
他方、現段階でもオバマ、クリントン両氏が選挙キャンペーン中の衝突とは別に、スタンスを明らかに異にする具体的な外交案件も存在する。
たとえば中東問題の扱いでカギとなるイスラエルへの姿勢では、クリントン氏が上院議員時代から顕著なイスラエル支持の傾向をみせてきた。
オバマ氏はアラブ側への理解をより多くみせることで知られている。
核兵器開発を進めるイランに対しても、クリントン氏は強硬な声明を繰り返し、経済制裁を積極的に支持し、最悪の場合の軍事力行使の可能性までを示唆した。
オバマ氏がイラン大統領との直接対話を提唱したのとは対照的だった。
クリントン氏は全体としてオバマ氏よりもすでに各国の要人たちに直接よく知られているといえる。
国際舞台ではかつてのファーストレディーとしてだけでさえも、明確で断固としたような言動、自信に満ちた挙措で強い印象を残してきた。
アメリカ国内でもなお影響力は強く、オバマ新大統領としてもまったくの部下扱いもできない大物だといえる。
しかも国務長官職を受けるにあたっては、大統領にいつでも直接、会えること、政府部内の外交関連のトップ会談すべてに参加できること、国務省の高官や補佐官はすべて自分が自由に選べること、などの了解を取りつけたという。
文字どおりの超大物国務長官の登場なのである。
だからこそオバマ新大統領もクリントン国務長官との調整にはことさらの慎重さが求められ、その調整がうまくいかなければ、新政権の外交政策には深刻な足並みの乱れがすぐに出てくる危険性も高いということだろう。(完)


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