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「ネオコンなんて存在しなかった」――イラクの現実とネオコン論の虚実

2009/04/11 06:53

 

以下のような記事を書きました。

 

 

【緯度経度】ワシントン・古森義久 再燃したネオコン論議


 

 「ブッシュ政権の外交政策を意のままに動かしたとされるネオコンなどという存在はそもそもなかった」

 「ネオコン外交政策と称されるのは左翼からみて右寄りと映る政策への批判にすぎず、実体のない陰謀説のようなものだ」

 

 こんな挑発的な言葉がワシントンの研究機関「ニクソン・センター」の外交政策論議の場で最近、述べられた。

 

 発信者はネオコンの指導者とされたリチャード・パール氏である。

 

 パール氏は保守系現実派とされる国際安全保障学者で、レーガン政権では国防次官補、ブッシュ政権では国防長官顧問に等しい国防政策委員長を務めた。

 

 イラクのフセイン政権打倒に関してもその作戦断行を強力に主張した論客だった。

 

 オバマ政権となったいま、ネオコン論議も意味がないように映るかもしれない。

 

 だがワシントンではブッシュ政権の対外政策、とくにイラクの平定と民主化の適否を判断するには、このネオコン論議はまだまだ現代性を発揮するのだ。

 

 ネオコンというのは周知のようにネオコンサーバティブ、つまり新保守主義者の略である。

 

 この課題で明記されねばならないのは1980年代には自他ともにネオコンサーバティブと認める一群の人物たちが存在したことだ。

 

 当時の民主党リベラル派だった上院議員のヘンリー・ジャクソン氏や政治学者のアービン・クリストル氏らは、外交政策に関しては民主党カーター大統領の姿勢を軟弱すぎるとしてソ連に対する強固な政策を打ち出し、自らネオコンサーバティズムを主唱した。

 

 「ネオ」という語には転向という意味がにじんでいた。

 

 だがブッシュ政権の外交を牛耳ったとされる21世紀のネオコンは、この前者とは時代も内容も異なる別のグループだった。

 

 そもそも80年代の新保守主義者たちはあくまでネオコンサーバティブというフルの呼称で呼ばれたが、ネオコンという略称にはあざけりの響きがある。

 

 ネオコンとされた当事者たちもパール氏の例のようにその呼称を無意味なレッテルと排し、自らを単なる保守主義者とかレーガン保守主義者と呼んでいた。

 

 オバマ政権の現在、このネオコン論議が再燃したのはパール氏が政治評論雑誌「ナショナル・インテレスト」の最近号にブッシュ政権のイラク政策についての長文の論文を発表し、「ネオコンがその政策をすべて動かしたという主張には根拠がない」と述べたことが契機だった。

 

 パール氏は次のように書いていた。

 

 「ブッシュ政権のフセイン政権打倒の政策は、中東の石油確保やイスラエルの利益拡大、民主主義の武力での押しつけなどを秘密の野望目的として活動する数人のネオコンのイデオローグによって作られ、推進されたという主張はまったくの虚構だ」

 

 パール氏はこの種の主張を大々的に取り上げたメディアの一例としてニューヨーク・タイムズ、バニティー・フェア、ニューヨーカー、ガーディアンなどの米英の新聞、雑誌をあげていた。

 

 確かにこれらのメディアはブッシュ政権のイラク政策を全面的に非難し、責をネオコンに帰し、その政策は「間違いだから失敗する」と断言していた。

 

 だがこの点ではイラクの現状をいまみることが重要だろう。

 

 7日、イラクを訪問したオバマ大統領は現地の米軍将兵に次のように語った。

 

 「サダム(フセイン)の排除、暴力の減少、国内の安定、選挙の協力など、あなた方は与えられた任務のすべてに関してイラク側に民主主義国家として自力で立つ機会を与える結果となった。このことは傑出した偉業であり、米国民も感謝している」

 

 ネオコンの虚実をめぐる論議はなお続くにせよ、米国がイラクであげた成果がオバマ大統領の指摘どおりとするならば、ネオコンこそが米国民の感謝を受けるべきだという皮肉な理屈も成り立ってくる。

 

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コメント(15)

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2009/04/11 07:57

Commented by 故郷求めて さん

日本でもイスラエルを支持するユダヤ金融ロビイストなんていう型通りの論評を未だに目にします。私に言わせれば、それがどうしたということです。現実にどこで何がどのように進行しているか、それが日本にとってどうプラスし、どうマイナスして行くのか、日本は何をして行くべきなのか、それを純粋に推し量ればいいことで、ユダヤの金融資本のやり方が汚いとか陰謀だなんて言うのは、言っても詮無いことですからね。ネオコン云々も、それに似たようなものじゃないでしょうか?

 
 

2009/04/11 19:51

Commented by 花うさぎ さん

古森さん

>このことは傑出した偉業であり、米国民も感謝している

この部分、オバマ氏の発言は選挙戦序盤で云っていたことと真逆ではないですか?。

まあ、大統領という立場になった以上、今更失敗だったとは口が裂けても言えないでしょうが(^^;。

 
 

2009/04/11 22:28

Commented by leny さん

こんばんは。

ネオコン」に持っているイメージは、

 1.軍部の現実派を排斥し、机上論で軍を動かした。
 2.あからさまな軍需産業・石油関連産業への利益誘導を行った。
 3.彼らが主導する間、イラクの占領政策は混乱した。
 4.ようするに無能。(-。-)y-゜゜゜

と言ったものです。アメリカの保守の間でも評判はよくないのではないですか?

 
 

2009/04/12 01:33

Commented by kinny さん

これはまったくの正論だね

昨今のネオコンは、ブッシュ前の共和党で、当時、投資に向けられていたドルの総和から、必然として石油の欠乏が見えていた故の経済防衛的な視点が、集団の継続性を持たせたのみだ。

親テロリスト勢力は伝統的に仏露中に近く、そうした意味に置いては、イスラエルも同断だった。イスラエルがイラクの核施設を攻撃した当時、イスラエルがアメリカに叩かれなかった最大の理由は、ひとえに同盟アラブが、サダムの野望を怖れ、憎んだからだった。空爆をクチでは非難しながら、イスラエルを助けてやれ、とレーガンにささやいたのはサウジ、次いでエジプトだった。レーガン政権はイスラエルへの武器禁輸など、致命的な制裁を加えようとしていたが、同盟アラブの要請で、結局はイスラエルへの制裁を中途半端に取りやめ、逆にサダムを見放した。

宗教やイデオロギーの違いより、アラブは危険人物を憎んだのだ。イスラエルははじめこそフランスの援助で凌いでいたが、レーガン政権との激突から、かえって事後、関係を深めた。

ネオコンとは、要するに実利主義、と言い換えれば、分かりやすかろうね。

余談だが、北も、イスラエルみたいにうまくやりたいんだろうな。

 
 

2009/04/12 02:08

Commented by hogura さん

古森さん、いつも楽しく読ませていただいています。
アメリカのメディアでは06年の民主党の議会選挙大勝利以来ネオコンという言葉をあまり聞かなくなったと思います。ということは左翼メディアが選挙で民主党に有利になる等にブッシュ政権の裏に巨悪組織ネオコンが隠れているというイメージを作り上げていた様に感じています。カール・ローブがほとんど神格化されて、保守の人間でさえ、カール・ローブが勝つと言えば勝つのではないかと信じていたくらいです。
まあ確かに湾岸戦争で父ブッシュがサダムを倒さなかった事に対する反発した連中が父親にコンプレックスのあった子ブッシュと結びついてできていた政権であったため、同時テロ後にイラク戦争へと突入していった訳ですが、今回オバマがイラク戦争自体を肯定したように、アメリカの外交政策としてはイラクは避けて通れなかったと思います。ですからヒラリーも最初は賛成していた訳で、後になって選挙対策として反イラク戦争が出て来る中でネオコンというメディアイメージが作られて行ったのではないでしょうか?

 
 

2009/04/12 11:54

Commented by 古森義久 さん

hogura さん

ご指摘のとおり、オバマ氏のいまの言明を普通に解釈すれば、イラク戦争を肯定している、むしろ場合によっては賞賛している、ということになりますね。
このことは非常に大きな意味を持つと思います。

 
 

2009/04/12 22:45

Commented by koku さん

hoisassa さん

>これをイラクの民主化の為ーというのはどう見ても無理があります。

そうですね、アメリカの安全のためだと思います。
 
>世界を納得させるだけの名目がイラク戦争にはありません。

世界はどうだか知りませんが、私は納得しておりますよ。
イラクのフセイン大統領は、北朝鮮金正日と同列の人物で、自国民を死なせてなんとも思わない人でした。例えばハラブジャをご存知ですかね、毒ガスを撒かれて村が1つ消えてしまいました。
また極端な反米政策をとり、北朝鮮と同様に経済制裁を受け、北朝鮮公民と同様に国民は不便を耐え忍び苦しんできたわけです。
また、クルドの方々も今はほっとしているでしょう。

 
 

2009/04/12 23:34

Commented by RAM さん

To vanacoralさん
>たかが社交辞令ひとつでそこまで拡大解釈できるんなら、お前で「大量破壊兵器」とやらを見つけてこいよ。この人でなしの曲学阿世の蛆虫野郎が。

*ブログ主にこんな罵声を放っておいて、自ブログに誘導するためのTBを付けるような行為を、日本語では「卑しい」と言うんだよ。

 
 

2009/04/13 00:25

Commented by 古森義久 さん

故郷求めて さん

ユダヤ陰謀説とネオコン陰謀説と、共通点はかなりありますね。

ただし日本のマスコミはいまやユダヤの反発には恐れおののきますから、もう「ユダヤが世界を支配している」なんて書けません。
一方、いわゆるネオコンについては何を書いても、本人たちからの抗議はないので、抑制なしの状態です。

 
 

2009/04/13 00:28

Commented by 古森義久 さん

hoisassa さん

フセイン政権の独裁下のイラクがいまも存続した場合と、いまの西側にドアを開けた民主主義イラクが存在している現状と、国際情勢、中東情勢、そしてわが日本にとっても、どちらが得なのか、どちらがトラブルが少ないのか。

そのへんの考慮はいかがでしょうか。

 
 

2009/04/13 00:31

Commented by 古森義久 さん

花うさぎ さん

ご指摘のとおり、オバマ氏イラクについての発言を180度、変えています。

イラクの平定を確実にした米軍増派には大反対だったのに、選挙戦の終盤では増派の成功を認め、当選後には増派の成功による成果を礼賛するようにさえなった、というわけです。

 
 

2009/04/13 02:20

Commented by 古森義久 さん

hoisassa さん

「かもしれません」で議論がすむなら、「アメリカのフセイン政権打倒は歴史上、最も正しかった判断かもしれません」ともいえますね。

 
 

2009/04/13 06:59

Commented by 古森義久 さん

hoisassa さん

ご質問へのお答えは以下となります。

あなたは「アルカーイダの9・11同時テロは歴史上、最も正しかった判断かもしれません」と言えるのですか?

他者の思考を単細胞と入り口で断じれば、もうそこから相互通行の議論は一切、進みませんね。

意見を異にする相手をアホとかバカとののしるのも同様です。

 
 

2009/04/13 13:00

Commented by tylu さん

古森様

昨日コメントを書こうとしてから遅くなってしまって、今皆さんのコメントを見たら話しが違う展開になって来ていたのですね。
アメリカで政治討論をすると良くこのネオコンと言う言葉が飛び出して来ます。
伝統的な考えを支持する人間もこの”聖書を抱えた好戦的な馬鹿イメージ”のレーベルで恐ろしいグループにまとめてしまえば攻撃しやすいのでしょうか?

>日本のマスコミはいまやユダヤの反発には恐れおののきますから、もう
>「ユダヤが世界を支配している」なんて書けません。
>一方、いわゆるネオコンについては何を書いても、本人たちからの抗議は>ないので、抑制なしの状態です。
私もまさにこの通りだと思いました。

古森さんの言われる通り、ニューヨークタイムズや先週またキリスト教を侮辱した表紙で話題を作り出したニューズウィークなどの主要メディアの作戦が効果を発揮しています。
日本でも真剣にネオコンこそが世界一の悪だと信じている人が多いようですね。


イラク戦争について意見は本当に人それぞれですが、戦争前からこれだけイラクを含め中東からの膨大な移民をアメリカで目にすると、あれだけ自分達の文化を大切にしプライドも高い彼らがアメリカでの生活を選ぶというのは彼らの祖国が住みにくい状態だったと言わざるおえないのではないかと思うのですが。
CNNなど主要メディアの報道ではイラク戦争前まではイラクは素晴らしい場所だったというイメージを作り上げるので必死な様子が伺えます。

 
 

2009/04/13 13:11

Commented by 古森義久 さん

tylu さん

フセイン独裁の下のイラクでどれだけの弾圧や虐殺が実行されたか。
イラク国民の間でも、アメリカの統治への反対や批判はあっても、サダム時代の方がよかったと述べる人はどんな世論調査でもごく少数です。
なにしろ自国民多数を大量破壊兵器(毒ガス)で殺戮した暴君でしたからね。
CNNがその当時、フセイン政権をあえて批判しないことの言質をとられ、それと引き換えにバグダッド入りを認められたという「メディア・スキャンダル」も報道されました。

 
 
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